市長が「体罰根絶」表明した2日後 尼崎市立学校で再び

兵庫県尼崎市教委は5月28日、市立中学校に勤務する保健体育科の女性教諭(48)が、3年生の男子生徒(15)の顔を平手でたたいたと発表した。市立尼崎高校男子バレーボール部の体罰を受け、稲村和美市長と市教委が記者会見で体罰の根絶や再発防止を誓った2日後だった。

同市教委によると、体罰は5月23日午後の体育の授業中、体育大会の練習が学年で実施されていた運動場で発生した。見学していた男子生徒の態度に腹を立てた女性教諭が、顔を平手で1回たたいた。他の生徒も見ていたという。

たたかれた生徒は直後の昼休み、担任教諭など他の教員2人に「体罰を受けた」と相談したが、2人とも学校側に報告せず、生徒はそのまま帰宅した。同日夕方、保護者が学校に抗議し、管理職が体罰を把握した。市教委は外部から情報提供があって知った。生徒は一時、耳の痛みを訴えたが、通常通り登校しているという。

28日に記者会見した松本真教育長は「あってはならないタイミングで、一般社会と感覚がかけ離れている。体罰をなくそう、膿(う)みを出しきって行こうというさなかに再び体罰が発生したことを大変申し訳なく思う」と陳謝した。また、生徒から相談を受けた教員らが報告しなかったことについて、「法令順守に対する認識の低さがある」と指摘した。

市教委は教育新聞の取材に対し、「全市を挙げて体罰根絶に取り組もうとしていた直前で、学校現場に伝わっていなかったことにショックを受けている。現場の意識を根底から変えていかなければいけない」と話した。

同市では4月、尼崎高男子バレー部のコーチの男性臨時講師(28)から10回以上、顔を平手打ちされた3年生部員が一時意識を失い、鼓膜が破れるなどのけがをした。調査結果が発表された5月21日の記者会見で、稲村市長が「体罰の根絶にしっかり取り組んでいく」と表明。市教委が幼稚園を含む全ての市立学校を対象に体罰実態調査を始めると宣言していた。

柴山昌彦文科相は5月28日、閣議後の記者会見で尼崎高男子バレー部の体罰と隠ぺいの問題に触れ、「部活動での言葉や態度による脅し、威圧は許されるものではない。教員による虚偽の報告や隠蔽(いんぺい)も決して許されない」とし、「各教委や学校に、根絶に向けて徹底した取り組みをお願いしたい」と訴えた。