いじめ防止法の今国会成立を 遺族ら有志が集会で訴え

いじめ防止対策推進法の今国会での改正を――。いじめの被害者家族・遺族やいじめ問題に取り組む団体などの有志が5月29日、都内で集会を開き、今国会で同法の改正を実現するよう訴えた。遺族らは、今国会でいじめ防止対策推進法改正案の提出を見送ることは、子供の命の軽視に他ならないと警鐘を鳴らした。

いじめ防止対策推進法の今国会での改正を求めた遺族ら

同法は超党派の議員による勉強会(座長・馳浩元文科相)で改正案が検討されているが、4月10日に「座長試案」が示されて以降、勉強会は開催されておらず、今国会で法改正が実現するか不透明な状況にある。

いじめで子供を亡くした遺族であり、いじめ問題に取り組む「ジェントルハートプロジェクト」の小森美登里理事は「座長試案は現行法よりも後退している。当初の案では、学校がすべきことと、やってはいけないことが示されていた。この当初案に沿った形で、今国会での改正を実現してほしい」と話した。

いじめ防止教育に取り組む「ヒューマンラブエイド」の仲野繁共同代表は「いじめが起こりにくい環境づくりを最優先に小学校の校長を務めてきた。一度いじめが起こると解決には膨大な時間がかかる。座長試案ではいじめが起こりにくい環境づくりやいじめ対策主任の配置が削除されてしまった。責任者を明確にして、本気でいじめ防止に取り組まなければ『チーム学校』としても機能しない」と指摘した。

いじめ問題を研究する慶應義塾大学SFC研究所の山崎聡一郎氏は「座長試案では教師に対する罰則規定が削除された。現場の教師は法律上のいじめの定義を超えて、幅広く子供同士のトラブルの把握に努めている。一方、自殺などの重大事態に限ると、学校側がいじめと認識していないケースが目立つ。教師の懲戒は慎重であるべきだが、重大事態の放置に対しては罰則規定を設けるべきだ」と述べた。

教育評論家の尾木直樹氏は「いじめ対策主任の設置は、学校が組織的対応をする上で必要だ。教師の罰則は、現行法でも処分はできるが、実際には何も処分されないケースが圧倒的に多い現実がある。法改正が進まない現状は、大人に対する子供の不信を助長するのではないか」と懸念した。

勉強会の中心メンバーで、集会に出席した小西洋之参院議員は「今国会の会期末まで時間は限られているが、頑張ればまだ法改正はできるはずだ。いじめ被害の遺族の方が納得し、学校関係者も理解してもらえるような法案を目指したい。今度こそ、子供の命を守れる法改正をしなければいけない」と応じた。