ネットいじめで発信者側を提訴 川口市立中の元生徒

埼玉県川口市立中学校でいじめを受け不登校になった元男子生徒(16)が、インターネット掲示板で実名を挙げられ中傷されたことを巡り、元生徒の保護者は5月28日、書き込んだ側の2人に計約160万円の損害賠償を求める訴訟をさいたま地裁に起こしたことを、会見で明らかにした。

会見する元生徒の保護者

訴状などによると、被告側は2018年3月、ネット掲示板に学校名入りの話題を設定し、元生徒の実名を挙げて中傷するなどしてプライバシー権を侵害した。

元生徒の保護者は教育新聞の取材に、「匿名だから誰にも分からないという安易な気持ちだったかもしれないが、自分たちのしたことにきちんと向き合ってもらいたい」と述べ、「ネットいじめは被害者を深く傷付け、精神的に追い込む行為。今回の提訴を抑止力にしたい」と強調。

「同じようにネットいじめの被害を受けている児童・生徒の保護者から、多数の相談が寄せられている」といい、学校に向け、「子供を被害者にも加害者にもしないよう、ネットいじめは人権侵害だという認識を新たにして、全ての学校でネットリテラシー教育を推進してほしい」と訴えた。

元生徒は2015年に市立中学に入学し、サッカー部に入った直後から暴力などのいじめを受け、2年生になってからはサッカー部顧問の体罰を受けるようになり、16年9月に悩んだ末の自傷行為を起こした。17年10月ごろには、ネット上に中学校名を明記した「掲示板」が開設され、実名を上げての激しい中傷などの書き込みが約2800件に上っていた。

元生徒側は18年6月、特に悪質と判断した4件の書き込みに関し、プロバイダー3社に発信者情報の開示を求めて提訴。東京地裁は同年12月、4件をプライバシー侵害と認定し、プロバイダーに情報開示を命じた。

同じ中学校に通っていた3人が投稿者だと分かったとして、元生徒側は3人の保護者に対し、再発防止に向けた通知を送るとともに、損害賠償と謝罪を求めた。うち1人とは解決に向けた交渉が進んでいるが、2人については話し合いによる解決が見込めないか、長期化が懸念されると判断し、提訴に踏み切った。