児相の虐待相談 AIがデータで対応支援

児童の虐待相談で人工知能(AI)が対応を支援――。産業技術総合研究所は5月28日、児童相談所に寄せられる虐待相談について、AIが過去のデータから重篤率や再発率を予測し、職員の意思決定を支援するアプリを開発したと発表した。6月下旬から来年2月末まで、三重県で実証実験する。

「AiCAN」を実演する髙岡研究員

児童相談所では、虐待の相談件数が増加し続ける一方、個別ケースに対応する児童福祉司の数はあまり増えていない。人手不足に直面している児童福祉司の対応を支援するため、産総研が開発したタブレット端末用アプリ「AiCAN」は、虐待相談が寄せられた子供に関する情報を職員が入力。子供の置かれた状況や外傷の状態といった入力情報を基に、過去のデータを踏まえて、AIが一時保護の必要性や将来的な再発率、対応が集結するまでの日数予測を表示する。

実証実験では、三重県内の2カ所の児童相談所に「AiCAN」がインストールされたタブレット端末を導入。実際に活用することで、業務効率の改善や対応を判断するまでの時間の変化を分析する。

アプリ開発を担当した、産総研人工知能研究センター確率モデリング研究チームの髙岡昴太研究員は「これまでは現場の経験や直感、データになっていない事象を統合して人が判断していたが、『AiCAN』が入ることで、紙で共有してきたものがデジタル化され、業務や意思決定の支援が可能になる。データが蓄積されれば、さらに知見が精緻になっていくことにもつながるだろう」と話した。

三重県子ども・福祉部の中山恵里子次長は「児童相談所は深刻な人手不足で、人事異動でベテランの知見・経験が新人に伝わらないという問題もある。こうした課題をAIの活用で解決していけるのではないか」と期待を込めた。