共通テスト、3割の大学が活用未定 受験生への影響懸念

2021年度の大学入試で新たに導入される「大学入学共通テスト」を活用するかどうかを、まだ決めていない大学が全国でおよそ3割に上ることが5月31日、文科省が今年1月に実施した調査で明らかになった。また、共通テストを活用すると回答した大学であっても、国語の記述式問題の活用方法については約7割の大学が、民間の英語資格・検定結果の利用については約5割の大学が、それぞれ「まだ決まっていない」と回答した。本番まで約1年半となる中、多くの大学で入試の内容が決まっていない実態が浮き彫りとなり、受験生への影響が懸念される。

この結果を受けて、柴山昌彦文科相は同日の閣議後会見で「受験生の立場に立った積極的な情報提供が必要」と呼び掛け、各大学に入試方法などを速やかに公表するよう、文書で要請する考えを示した。

同調査は1月11~25日、全国の国公私立大学1068校を対象に964校(大学692校、短期大学272校)から回答を得た。

それによると、21年度の大学入試で共通テストを「活用する」と回答したのは61.3%で、「活用しない」と回答したのは9.1%だった。「まだ決まっていない」との回答は29.1%に上った。

大学の設置者別に見ると、「活用する」と回答したのは、国立大で97.6%、公立大で92.7%だったのに対し、私立大では65.3%にとどまった。「まだ決まっていない」との回答は国立大学で2.4%、公立大学で6.1%だったが、私立大学では30.3%に上った。

また、共通テストを「活用する」と回答した大学・短大に、国語の記述式問題の活用について尋ねたところ、「まだ決まっていない」と回答した大学は69.3%と7割に迫った。

英検やTOEICなど民間の英語資格・検定結果の利用については「利用する(一部の学部を含む)」は41.4%、「利用しない」は8.8%で、49.4%の大学・短大が「まだ決まっていない」と回答した。

さらに民間の英語資格・検定結果を利用すると回答した大学に、その活用法を聞いたところ、「CEFR(国際的な語学力基準)との対照表に基づき共通テストの英語の得点に加点する」(13.0%)、「一定水準以上の試験の結果を出願資格とする」(10.5%)、「CEFRとの対照表に基づき個別選抜の英語の得点に加点する」(6.0%)――と続いた。一方、「まだ決まっていない」が50.1%で半数を占めた。入試に民間の英語試験をどう活用するか頭を悩ませている大学の姿が透けて見える。

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また、文科省では、2021年度の大学入学共通テストにおける民間の英語資格・検定結果の利用について、国立大学に絞って今年5月13日時点でさらに詳しく調べたところ、全国の国立大学82校のうち、79校が利用することがわかった。利用しないのは北海道大、東北大、京都工芸繊維大の3校だった。

活用する79校のうち、出願資格として活用するのは44校。学生に求めるレベル別にみると、国際的な語学力基準「CEFR」で▽A2以上 25校(東京大、大阪大、九州大など)▽A1以上 13校(宮城教育大、横浜国立大、福岡教育大など)▽基準の定めなし 3校(広島大など)▽基準未定 3校(旭川医科大など)――だった。

点数化して共通テストの成績に加点するのは33校で、▽筑波大▽信州大▽鳴門教育大――など。

出願資格および点数化して加点するのは7校で、▽横浜国立大(教育学部)▽信州大(教育学部英語教育コース)――など

一定水準以上の成績で共通テストの「英語」を満点と見なすのは3校で、東京藝術大(音楽)など。

活用するが、高校による証明書でも代替できるとしたのは8校で、▽一橋大▽埼玉大――など。

共通テストの「英語」の得点と比較し高得点だったものを利用するのは、富山大(人文学部、理学部、工学部)だった。