社会情動スキルの育成が重要 技術革新でOECD局長

データやエビデンスを活用して教育の在り方を論じる国際シンポジウム「教育を科学する」(ベネッセコーポレーション主催)が6月4日、東京都文京区の東京大学で開かれ、OECD教育・スキル局のアンドレアス・シュライヒャー局長が講演した。

国際データを基に日本の教育の課題を話すシュライヒャー局長

同氏は世界各国のデータを踏まえ、技術革新に対応していくために求められる教育のキーワードとして社会情動スキルの育成を挙げ、これからの教師の役割変化にも言及した。教育関係者ら約300人が参加した。

シュライヒャー氏は技術革新のスピードに教育が追いついていないと指摘した上で、さまざまなデータで国際比較を紹介。

日本の教育が目指すべき方向性について、「例えば理科では、成績が良いことも重要だが、同じくらいサイエンティストになりたいと考えているかどうかも重要だ。日本ではテストの成績はいいが、サイエンティストになりたいという子供は少ない。データをみると、成績とサイエンティストとしてのキャリアに相関はない。しかし、楽しんで学んでいることはキャリアと相関する」と述べ、数学や美術など、あらゆる教科で社会情動スキルの重要性が増すと指摘した。

また、同氏は、これからの教師は知識を教えることよりも、リサーチャーやデザイナー、イノベーター、ソーシャルワーカーなど、多様な役割が求められるようになるとの見解を披露。「教師の専門性が高い日本では、教科の知識や生徒理解など、教師が教育に関するさまざまな知識・スキルを持っている。多くの国では教師は教科内容を教えるだけで、生徒との関係性を構築する機会がない。日本の教師の仕事量が多いのはシステムとして課題だが、強みにもなっている」と話した。

一方、日本は教師の自律性が限られており、学校の教育方針などで意思決定をしていく場を作っていく必要もあるとも指摘した。