VR取材で観察力を磨く 教員志望者に理科大で特別授業

現場取材の臨場感を教室で体感――。教員志望の学生を対象に、新聞記者の持つスキルを生かした教育プログラムを実践している東京理科大学で6月5日、VR機器を活用した特別授業があった。観光地のバーチャルリポートを体験した学生らは、見た光景をすぐに言葉に置き換える難しさに苦戦しながら、人に分かりやすく伝える上で観察すべき点や、必要な情報を選び出す方法を学んだ。

臨場感あふれるVR映像を即興でリポート

プログラムは同学教職教育センターの井藤元・准教授監修の下、毎日新聞社が開発。全8回の授業には記事の作成やインタビュー体験、プロのアナウンサーによる講義など実践的な内容を盛り込み、教員に必要な論理的思考力や表現力、コミュニケーション力を養う。

5回目となる今回は、仮想空間を体感できるVR機器を活用。ゴーグル型の機器を装着すると、観光客でにぎわう大阪・道頓堀の風景が目の前に映し出される。頭を正面に向けると映像が進み、横を向くと一時的に映像が止まって細部を観察できる仕組みになっている。

学生は3人1組となり、1人ずつ交代で機器を装着して、他の2人にラジオ中継の要領で道頓堀の様子を1分間リポートする。講師を務めたフリーアナウンサー、佐々久世さんの実演を参考に、バーチャルリポートに挑戦した学生たちは疑似体験を楽しみながらも「(他の学生が伝えていない)新規の情報を探すのが大変だった」「情報量が多すぎて取捨選択するのが難しい」と、即興で伝える難しさを口にした。

佐々さんは「(視覚的な情報がない)ラジオ中継では、例えば天気だとただ『晴れている』と言うだけでは伝わらない。どう晴れているのか、半袖と長袖のどちらを着ている人が多いか、といった情報を即時に判断して盛り込めるよう、街の様子を観察しながら言葉にする練習を繰り返した」と、必要な情報を分かりやすく伝えるこつをアドバイスした。

授業に参加した同学数学科2年の金芝俊(じゅん)さんは「面白かった。見たものや感じたことを瞬時に言葉にするのは難しかったが、こうした技術を身に付けていれば、自分が教える側に立ったときに、生徒の身近にあるものでたとえたりしながら分かりやすく伝えられるのではないか」と感想を話した。