虐待対策「無料学習塾に児相の役割を」 キッズドア提案

貧困家庭の中学生や高校生向けの無料学習塾を運営するキッズドアが6月11日、都内で報告会を開き、渡辺由美子理事長が「これからの子供の貧困対策」について講演した。渡辺理事長は、相次ぐ児童虐待事件を踏まえ、無料学習塾が「通所型の軽度の児童相談所」としての役割を担える可能性を指摘。「行政と連携することがポイントだ。スタッフは日常的に子供や保護者とコミュニケーションをとっている。保護者の孤立感も軽減できるだろう」と話した。

次世代の子供の貧困対策について話す渡辺理事長

報告会は、「子供の貧困対策における無料学習会のソーシャルインパクト評価報告」と題され、NPO法人のキッズドアが主催し、協力企業の内田洋行が新川本社ビルを会場として提供。教育関係者や支援者など約100人が参加した。

渡辺理事長は、無料学習塾は貧困世帯の情報収集の場になっていることも指摘。「そもそも奨学金や支援制度についての情報をキャッチできなかったり、募集要項を見ても保護者自身が理解できず応募できなかったりする家庭もある。スタッフが積極的に情報提供し、必要であれば解説や提出資料の添削をしてフォローしている」と話した。

また、2020年度から始まる高等教育無償化が追い風となり、子供たちの学習に対するモチベーションが上がっていると報告。都内で開校する高校生対象の無料学習支援塾「ガチゼミ」の入学希望者が殺到していると明かし、「これまでのわれわれの支援は高校に入学することが最大の目標だった。これからは大学や専門学校入学など、高校卒業後のキャリア支援までカバーしなければならない」と訴えた。

質疑応答で保護者や子供への接し方について質問を受けた渡辺理事長は、「学習塾を休んだ生徒には『いつまでも待っているからね』とこまめに連絡する。さまざまな環境の保護者がいるが、否定しないことを心掛けている。家庭の問題にまで介入できないので、『お子さん、かわいいですよね』『今日も頑張って勉強していましたよ』などと、子供の話題を介してコミュニケーションを図っている」などと話した。