いじめなくす価値観を 西郷氏・日野氏、学校長を語る

教育現場の課題を考える連続講座「未来の先生展セミナー」の第1回が6月14日、「改めて学校長の姿を考える」をテーマに、都内で開催された。校則やチャイムをなくし、インクルーシブ教育の推進で知られる世田谷区立桜丘中学校の西郷孝彦校長と、発達に課題を持つ高校生が特別支援付きの普通科高校教育を受けられるSNEC(スペシャルニーズ・エデュケーションセンター)の開設で注目を集める明蓬館高等学校の日野公三校長が、学校長の在り方について語った。

西郷校長と日野校長の講義に、参加者の多くはメモを取りながら熱心に聞き入った

西郷校長は、勤務校である世田谷区立桜丘中学校の普段の様子を紹介しつつ、学校長としての姿勢を示した。同中学校ではインクルーシブ教育を「全ての子どもたちが、この中学校3年間を楽しく過ごす」と表現しており、発達障害や知的障害の子も、帰国子女や外国から来た子など「誰でも」という部分が鍵になっていることを説明した。

会場から質問が上がった「いじめ問題」について、西郷校長は「本校では『みんな違っていい』ではなく『みんな違うほうがいい』という価値観をもってもらうようにしている。1年生のときはまだいじめは起きるが、2年生くらいになると、この『みんな違うほうがいい』という価値観が理解できるようになり、変わった子を非難したりいじめたりすることはなくなる」と回答。

さらに「弱い者や少ない者を排除する日本社会自体がいじめの巣となっている。本当にいじめをなくしたいなら、社会を変える必要がある」とも指摘した。

日野校長は、特別支援教育の考え方や、過去三つの学校を開設した経緯を振り返りながら、学校長に必要な資質に言及。「最悪の状況に覚悟して腹をくくれることは今の学校長として必須。人の話を聞くときはただ聞くことも大事。限られた情報でジャッジしないよう、丹念に事実を集約する時期も必要だ」などと話した。

昨今は事件の記者会見に出てくる校長が、説明責任を果たせないことが多いことについて、「校長が校長室にとどまらず、自ら情報を集めるなどの行動が重要」とも指摘した。

また米国では「学習の権利と責任は保護者にある」という認識が浸透しているため、「不登校」という概念そのものがないことや、障害者は「People with special needs(特別な注文主)」と呼ばれており、彼らが投げかける学校全般への提案や要求から教育者が学ぶことで、学校運営の改革につなげるヒントを得られるとした。

「未来の先生展セミナー」は、9月に行われる教育イベント「未来の先生展2019」に併せて企画された全7回の講座で、毎回特定のテーマに焦点をあて、ゲストを招いて密度の濃い学びを目指す。会場は東京都千代田区の立命館東京キャンパス。この日の第1回には、50人超が参加した。

セミナーは今後、7月26日(金)、8月24日(土)、9月20日(金)、10月16日(水)、11月30日(土)、12月20日(金)に行われる。詳細はこちらで確認できる。

「未来の先生展2019」は9月14日(土)、15日(日)の2日間、東京都千代田区の明治大学で開催される。