子供が真剣に学ぶ道徳 都小道研、六つの公開授業で提案

子供が真剣に学ぶ道徳の授業とは――。東京都小学校道徳教育研究会(都小道研)の公開授業と定期総会が6月17日、中野区立南台小学校で開催された。57回目となる今回の研究主題は「多様な価値観に気付き、自己を見つめ、よりよい生き方を考える児童の育成」。公開授業では、教員ら約200人が参加する中、同研究会の所属教員が学年別に六つの授業を提案。続いて文科省初中局教育課程課の浅見哲也教科調査官が「子供が真剣に学ぶ道徳科の授業づくり」と題して講演を行った。

「伝統と文化の尊重」をテーマにふろしきを扱った4学年の公開授業と東幸恵主任教諭(中央奥)

新宿区立早稲田小学校の東幸恵主任教諭は、4学年34人を対象に「伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度」をテーマに授業を展開。冒頭でふろしきを見せ、「今も使われていることをどう思うか」と聞くと、児童は「なぜ今でも必要なのか不思議」「どういうときに使うのか分からない」と口々に語り合った。

東教諭は、ある女子児童がふろしきの歴史や使い方について母親に教わる文章を読ませた上で、ふろしきを一人一人に配り、この母親の説明どおりに各自で筆箱を包むよう指示。変化を尋ねると、児童たちは「きれいになった」「前より軽く持てる」「触り心地が良くなった」と述べ合った。

続けて、母親から説明を受けた女子児童がどう感じたか想像するよう促すと、「自分で使い方を工夫してみたいと感じた」などと発言。東教諭が「自分だったら何を包みたいか」と尋ねると、「ゲーム」「宿題」「サッカーボール」「まんが本」「野球のバット」と自由な発想を示した。

最後に東教諭が「ここからは自分としっかり向き合う時間です」とした上で、「日本に古くから伝わる良いものを探そう」と問い掛け、ワークシートに書かせると、児童たちは「ひも1本で最大4人が遊べるあやとり」「誰でも楽しめる盆踊り」などと記述を行った。

授業終了後、東教諭はワークシートの記述などを踏まえ、「日本の伝統文化について各自で考えを深める様子が見られ、手応えを感じた」とコメント。児童全員分のふろしきは自費で購入したと明かし、「実物があるのとないのとでは全く違う。お金がかかっても、子供の学びの深まりには代えられない」と語った。

あいさつに立つ都小道研の染谷由之会長

総会では、都小道研会長を務める渋谷区立神南小学校の染谷由之校長があいさつに立ち、「新学習指導要領の完全実施に向け、道徳への関心が一層高まり、教員がストライクゾーンを目指して懸命に投げている」と野球に例えた上で、実際に行われている授業には「変化球が多い」と懸念を表明。「求められているのは、かつての江川卓さんのような伸びのあるストレート。ど真ん中の直球で勝負できる授業を研究してほしい」と訴えた。

続いて講演した文科省の浅見教科調査官は、「『真剣に学ぶ』とは、『考え、議論する道徳』を通して道徳性を養うことだ」とした上で、「さまざまな捉え方ができる難解な教材を使って授業してみる、というチャレンジが必要になる」と説明。「心の物差しは人によって違う。それを授業で比べることが真剣な学びにつながる」と語った。