SDGs時代の消費者教育 「自覚した消費者を育てる」

消費者教育支援センターが主催する、消費者教育シンポジウム「SDGs時代の消費者教育はどうあるべきか? どう進めていくか?」が6月24日、都内で開催された。小中高の教員ら約200人が参加した。SDGsの目標達成に向けた取り組みが十分になされていない現状が取り上げられ、消費者教育の充実による打開が今後の課題とされた。

実践発表する横浜市立日枝小学校の住田昌治校長

取り組み報告では、横浜市立日枝小学校の住田昌治校長と河原美佐子教諭が「本物に触れる消費者教育」をテーマに発表。

河原教諭は地元の老舗(しにせ)和菓子店と連携した、もなか作りの実践について話し、「児童は失敗を繰り返しながら、もなか作りを重ねたことで、作り手の心情を理解するとともに、原材料に関心を持った上で買い物することや、食べ物を大事にする大切さを知った」と成果を述べた。

住田校長は「大量生産・大量消費が加速する中で生きる児童に、職人の技やスローフードといった観点から、『顔の見える関係』を通して、地産地消やエシカル消費について学ばせることができた」と説明。

「児童が身に付けたのは、AIに代替されない想像力や創造力、そして自分で課題を解決しようとする意欲だ」と述べ、「消費者として子供が地域経済について考えることが、持続可能な生産と消費を導く。そのためには外部とのつながりが重要で、消費者教育コーディネーターは今後一層の必要性を増す」と強調した。

シンポジウムでは「消費者教育教材資料表彰2019」があり、最優秀賞に当たる内閣府特命担当大臣賞は、埼玉県危機管理防災部が作成した視聴覚教材「埼玉イツモ防災」に贈られた。

同教材は小学生を対象に、「家具転倒防止間違い探し」「災害時の食べ物どうするクイズ」など九つのコンテンツから成り、授業用の手順書、スライド、ワークシート、家庭用チェックシートで構成される。

「イツモ」の生活で、防災・減災に向けて行動する力を養う狙い。家庭科の住生活学習と連携させるなど、児童が日常の学習と関連付けながら具体的に学べるよう工夫された点が高く評価された。

基調講演では、同センターの客員研究員を務める横浜国立大学の松葉口玲子教授が「これまでの消費者教育を振り返り、新たな展望を切り拓く」と題して、消費者教育の歴史や今後求められることを解説。

「消費者教育は元々アクティブ・ラーニングだった。身近な消費を自分ごととして考え、行動に移す消費者を育成することを目指し、批判的思考力や判断力、表現力を養ってきた」と述べ、「これからの消費者教育で中心になるのはエシカル消費であり、エシカル消費を促進することはSDGs全ての目標達成につながる」と強調。

「新学習指導要領での消費者教育を充実させることは、新たな価値観とライフスタイルで生きる『自覚した消費者』を育て、持続可能な未来を実現させる」と展望を語った。