未来の教室へ3つの柱を提言 教育現場の創意工夫を促す

経産省が主催する有識者会議「未来の教室」とEdTech研究会は6月25日、第2次提言を公表し、新しい教育として構築する「未来の教室」の姿として①学びのSTEAM化②学びの自立化・個別最適化③新しい学習基盤づくり――という3つの柱を提起した。その上で、工程表として、3年後をターゲットに教育現場の創意工夫を促す政策を実行していく考えを示した。

「未来の教室」とEdTech研究会の第2次提言を説明する座長の森田朗津田塾大教授

提言では、日本が平成の30年間に内外の環境変化に対応できずに停滞したことから、今後の教育改革の課題について、「一人一人が未来を創る当事者(チェンジ・メーカー)に育つことが求められる」と明示。そうしたチェンジ・メーカーを育てる教育の在り方を「未来の教室」と位置付けた。

未来の教室のコンセプトは3つの柱で成り立っており、それぞれの柱について課題解決に必要なアクションが盛り込まれている。

第1の柱は、学びのSTEAM化。児童生徒一人一人のワクワクを起点として、知識を身に付ける「知る」と探求・プロジェクト型学習(PBL)の「創る」が循環する学び方の確立を求めた。PBLに必要なSTEAM学習コンテンツが不足していることから、インターネット上に協働と共有が可能なオンラインコンテンツを提供する「STEAMライブラリー」を構築したり、EdTechを通して知識を効率的に獲得して児童生徒がPBLに没頭する時間を捻出したりすることを提案した。

第2の柱となる学びの自立・個別最適化では、児童生徒一人一人の認知特性や学習到達度がそれぞれ異なることを前提に、知識の習得については一律・一斉・一方向型の授業をやめ、EdTechによる自学自習と学び合いに重心を移行。幼児期から個別学習計画を策定して蓄積した学習ログを基に修正し続けるサイクルの構築や、到達度主義の導入などによる多様な学び方の保障を打ち出した。

第3の柱は新しい学習基盤づくりとして、学習者中心、デジタル・ファースト、社会とシームレスな学校という考え方を強調した。ICT環境を整備して児童生徒に1人1台のパソコンを確保するため、調達改革やBYODの活用に踏み出すことを求めた。また、教員の働き方改革に向けた学校BPR(業務構造の抜本的改革)の試行と普及や、教員自身がチェンジ・メーカーとして学校外の人材と学び協働する環境づくりを進めるよう促した。

記者会見する「未来の教室」とEdTech研究会の有識者ら

今後の工程表では、現行法令の合理的な解釈の範囲内で実現可能なことはすぐに取り組むべきだとした上で、3年後をターゲットにSTEAMライブラリーの開発や1人1台パソコン確保の実現に向けた目標と手段の明確化などの政策を進めることを明示。改革の成果を最大化させるために、教育現場の創意工夫の背中を押す政策を実行するとした。

研究会で座長を務めた津田塾大学総合政策学部の森田朗教授は「不安をあおるつもりはないが、これから先行き不透明な時代になる。そうした時代に日本が生き抜いていくためには、目標そのものを自分たちで設定し、課題を解決していく人材が必要だ。今の教室は変わっていかなければならない」と、提言に込めた狙いを説明した。

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