【参院選2019】教育政策も争点に 公約を点検

第25回参院選が7月4日公示され、21日の投開票に向け、選挙戦がスタートした。今回の参院選では、消費税の10%引き上げを財源として与党が打ち出した教育の無償化、児童虐待防止対策、学校の働き方改革の推進など、教育政策も争点のひとつとなっている。教育政策をめぐる主要各党の選挙公約を点検する。


【自民党】
自民党の教育政策のポイント

自民党は▽待機児童ゼロに向けた取り組みの加速▽10月から、3~5歳の全ての子供、0~2歳の住民税非課税世帯の子供たちの幼児教育・保育の無償化▽来年4月から真に経済的支援が必要な子供たちの高等教育無償化、私立高校の実質無償化▽Society5.0時代に向けた学校のICT環境の抜本的改善▽児童相談所の体制強化による児童虐待の根絶▽昨今の交通事故や事件を踏まえた総合的な子供の安全対策の徹底▽子供の現在・将来が生育環境に左右されない実効性のある子供の貧困対策――を柱に据えた。

学校の働き方改革では、ICTによる校務の情報化を進めるとともに、サポートスタッフ、部活動指導員などの配置促進を掲げた。いじめや児童虐待、不登校、発達障害への対応では、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、スクールロイヤー、特別支援教育支援員など、関係機関の連携体制を強化する。また、子供1人1台のコンピューターの実現や低価格で使用できる学習用コンピューターの開発なども盛り込んだ。

【公明党】
公明党の教育政策のポイント

公明党は▽10月から全ての3~5歳児、住民税非課税世帯の0~2歳児の幼児教育・保育の無償化▽20年度から私立高校授業料の無償化、高校生等奨学給付金の拡充▽20年4月から大学などの授業料減免と給付型奨学金の拡充――などを掲げた。また、家庭の経済状況が厳しい小・中学生の支援を強化するため、就学援助の対象に学習支援費など新たな項目を追加するとした。

学校現場の課題については▽小学校高学年の教科担任制の導入に向けた教員免許や教職員配置、教育課程の抜本的な拡充▽スクール・サポート・スタッフや部活動指導員、外部人材の配置▽教員の働き方改革のためのタイムカードや統合型校務システムなどの導入による環境整備▽給特法の在り方についての検討――などを挙げた。

さらに障害のある子供や外国につながる子供の教育については▽特別支援教育の教員や支援員の配置促進、高校での通級による指導の体制整備▽フリースクールに対する公的支援▽不登校の児童生徒に対しICTを活用した自宅での学習成果が成績として認められるようにするための制度の検討▽外国につながる子供に対する多言語翻訳システムの活用や日本語指導、母国語による支援――などを盛り込んだ。

【立憲民主党】
立憲民主党の教育政策のポイント

立憲民主党は、次世代への投資は社会の持続可能な成長に必要不可欠として教育分野を重点事項に位置づけ、教育の無償化を柱に据えた。その財源として与党が進める消費税率10%への引き上げを凍結し、金融所得課税や法人税の見直しを掲げることで独自色を打ち出した。

幼児教育については、待機児童の解消と保育の質の向上を優先事項に挙げたほか、「食育」の観点で公立小・中学校の給食無償化や児童虐待やいじめを受けた子供への支援の拡充などを盛り込んだ。

高等教育の修学支援では▽国公立大学の授業料を半額程度に引き下げる▽私学助成金の増加▽給付型、無利子型奨学金の拡充――などの方針を示した。

【国民民主党】

国民民主党は公約となる「政策INDEX2019」で、『チルドレン・ファーストで、日本を変える』とのキャッチフレーズを打ち出した。

国民民主党の教育政策のポイント

まず、日本の教育への公的負担が低すぎるとして、▽全ての就学前教育・保育の無償化▽公立小・中学校の給食費の無償化▽所得制限のない高校授業料無償化の復活▽大学の授業料減免の拡大――など教育の無償化を掲げた。児童虐待やいじめ防止では、児童相談所職員の拡充のほか、格安スマートフォンのIP電話でも文科省の「24時間子供SOSダイヤル」につながるよう施策を講じるとした。

学ぶ権利と人権を尊重する観点から多様な学びを保障する姿勢を明確に示し、フリースクールへの支援や夜間中学の拡充などを訴えている。家族の介護や世話におわれる「ヤングケアラー」と呼ばれる若者や子供に対する支援も盛り込んだ。

教育委員会制度については、権限と責任の所在が不明確だとして、地方教育行政制度を抜本的に改革することを訴えた。文科省についても集権的・通達行政的な「古さ」を解消するとしている。一方、教育環境の整備・改善として、教職員定数の充実や働き過ぎが指摘される教職員の勤務環境の改善を掲げた。

【日本共産党】

日本共産党は▽消費税増税をしない上での教育の無償化の推進▽子供の権利を尊重した教育施策――を教育政策の二大テーマに位置付けた。

日本共産党の教育政策のポイント

高等教育の無償化では、全ての学生を対象に、大学、短期大学、専門学校の授業料を半分に値下げし、段階的に無償化するほか、月額3万円の給付型奨学金制度を創設し、70万人の学生が利用できるようにして、全ての奨学金を無利子にする。また、学校給食も無償化する。

子供の権利を尊重し、学校教育の過度な競争や管理強化を是正するため、全国学力・学習状況調査を廃止し、いじめや「指導死」、暴力などから子供の命を守ることを学校の優先課題に位置付けることを掲げた。

児童虐待の防止では、児童相談所の専門職員の養成や相談員の増設、社会的養護の環境改善・充実、民法の懲戒権廃止などを盛り込んだ。

【日本維新の会】
日本維新の会の教育政策のポイント

日本維新の会は、教育政策として「教育の完全無償化」を重視している。経済格差が教育格差とならないように、教育機会平等社会の実現を公約に掲げた。具体的には、義務教育のほか、幼児教育、高校、大学の無償化を主張している。教育が無償化されれば、子育て世代の可処分所得が増えるため、持ち家の購入など他のことにお金を回すことができるので、消費の底上げにもつながるとの立場だ。

子供の数が多いほど税負担が軽減される「N分N乗方式」を導入し、子育て世代の経済的な負担を引き下げ、子供を持つことへの心理的なハードルを下げていくことも訴えている。子育てバウチャーの導入を通じて、OECD諸国の中でも低いとされる日本の教育予算の対GDP比を引き上げていくことも公約として打ち出した。

【社民党】

社民党は▽子供・子育て支援▽教育の「市場化」からの転換――を掲げ、子育て環境の改善や教育予算の拡充をうたう。

社民党の教育政策のポイント

児童手当の拡充や子供の医療費の国庫負担による無料化、学校給食の無償化や完全実施を進める。保育士の給与を月5万円引き上げるなどの待遇改善を図る。

教育予算の拡充では、教育予算を国内総生産(GDP)の5%水準にまで引き上げ、高等教育の学費の段階的な引き下げによって将来的に無償化を実現する。高校の授業料は私立学校を含め直ちに無償化し、外国人学校にも適用する。

また、ワークルールや労働安全衛生などを学ぶ労働教育のカリキュラム化を推進する。