生き方や価値観の探究を 外国にルーツ持つ講師らが授業

グローバル化社会の生き方について考えさせる授業とは――。神奈川県立横浜清陵高等学校(田中顯治校長、生徒870人)で7月11日、NPOと連携した1学年対象の探究の公開授業があった。

「誰もが安心して生きられる居場所を」と語る講師の神代悠夜さん

同校は県教委から「総合的な探究の時間」の研究開発校に指定され、生徒に生き方や価値観を探究させる教育モデルの開発を目指し、カリキュラム編成や運用、評価のあり方を模索している。

連携しているNPOは「未来をつかむスタディーズ」(同県鎌倉市、河内智之代表)。在県外国人等特別募集をしている学校であることを踏まえ、同校の青山健児教諭が「グローバル教育やキャリア教育に実績がある」として連携を申し入れたという。

この日は「異文化・多様性の理解」をテーマに、同NPOから依頼を受けた7人の講師が1クラスずつ担当。2コマの授業を展開した。

講師は在日ペルー人やJICAボランティアの経験者など多彩。それぞれ自分のルーツや経験を基に、各自の問題意識に沿って、生徒との対話やグループディスカッションを取り入れながら、多様性に関わる国際的な課題を投げ掛けた。

講師の1人、神代悠夜さんは「私の両親はベトナム出身だが、ベトナム戦争で中国へ避難し、難民として日本に来た。私はインドシナ難民2世ということになる」と言い、「同じような状況で日本に逃れてきたインドシナ難民は約1万1千人と言われ、日本では在留外国人という扱いだが、母国では国籍を破棄したとみなされる。日本人でも外国人でもない、無国籍のような状態だ」と語った。

神代さんは当初、あえて関西弁で話すなどして、生徒が日本人だと感じるようにしながら1コマ目の授業を展開。「外国人」「在日」「難民」「外国籍」といった語句に対してどのようなイメージを抱くか、その違いなどを考えさせた。

生徒との距離が縮まった2コマ目で、神代さんが自身のルーツを明かすと、生徒から驚きの声が上がった。口々に「気の毒」「大変」と語り合う生徒に、神代さんは「日本人だと思っていたときと印象を変える必要はない。バックグラウンドは個性でしかなく、重要なのは互いの個性を認め合いながら安心して生きられる居場所をつくること」と語りかけた。

担当者の1人である高橋伸行教諭は授業後、「『違いはハンディではない』という言葉が、不登校傾向にある生徒の心に響いたようだ」と振り返り、「生徒が今まで全く知らなかった世界のことを、渦中にある人が本音で話してくれたことが、新たな価値観の存在に気付かせた」と語った。