学習塾対象の学校説明会 茨城・並木中等が初の試み

日本一の中高一貫校を目指す――。茨城県立並木中等教育学校(中島博司校長、生徒数938人)で7月12日、学習塾や教育関係者を対象とした学校説明会が開かれた。保護者や受験生ではなく、学習塾をターゲットにした学校説明会を実施するのは公立高校では珍しく、同校でも初めての試みとなる。公立の中高一貫校が増える中、学習塾への広報活動を強化することで、受験生に選んでもらえる環境づくりを進める狙いがある。

「日本一の中等教育学校を目指す」と語った中島校長

中等教育学校として開校して12年目を迎える同校は、アクティブ・ラーニングによる授業や探究学習、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)を生かした科学教育などに取り組み、本年度から医学部への進学希望者向けの医学コースを開設するなど、県内有数の進学校で知られる。

学習塾を対象とした学校説明会を開催した背景には、新入生獲得競争の激化がある。茨城県内では、2022年度までに10校の県立中高一貫校が次々と開校するほか、つくばエクスプレスの開業で東京都内へのアクセスが向上したこともあり、優秀な生徒が都内の有名私立校に進学するケースも増えてきた。進学校の同校も安穏としていられない状況だ。

約100人が参加した学校説明会で、中島校長は「中高一貫教育の戦国時代に突入する中で、今年から広報活動に力を入れている。本校はアクティブ・ラーニングと探究学習で思考力や論理力を育成し、能動的に学習する生徒を育てている。これからの公立中高一貫校のモデルとして、日本一の中等教育学校を目指したい。その特徴や魅力をぜひ学習塾に知ってもらいたい」と強調した。

学校説明会では校内の施設や授業も公開された。同校では、職員室のそばに自習用の「セルフスタディールーム」や、生徒同士が対話しながら学習できる「ラーニング・コモンズ」などを整備し、生徒の学習をサポートしている。

イラストなどで考えを表現するアート・アクティブ・ラーニングの活動

授業では、中島校長が考案した、80字以内の論理的な文章で学習内容をまとめる「R80」や、アクティブ・ラーニングにアート表現の要素を採り入れた「アート・アクティブ・ラーニング」に取り組む光景が見られた。また、SSHの強みを生かして1人1台の顕微鏡で花粉を観察し、その様子をタブレット端末で撮影し、画像を比較する活動も行われた。

4年次生(高1に相当)以降には、必修の学校設定科目「理数探究」で、生徒自らがユニークなテーマを設定し、実験やデータ分析を踏まえて論文にまとめる活動を行っている。「理数探究」はゼミ形式で、主に先輩の生徒が後輩の生徒に研究方法を教え、教師はファシリテーターとして支援に回るかたちで授業が進められている。

学校説明会では、同校の入学試験で課される集団討論の過去問題も公表された。同校では、アクティブ・ラーニングの授業に積極的に参加していけるかどうかをみるため、集団討論では「抽象絵画に適切なタイトルを付ける」など明確な答えがない問題について6人の受験生が話し合うかたちの試験を行い、受験生の発言や振る舞いなどから、適性を測るようにしている。

中島校長は「アクティブ・ラーニングなら並木中等教育学校と言われるくらい、学校のブランドを確立させ、保護者のニーズをくみ取った情報発信をしていかなければ選んでもらえない。これからの校長には、企業経営的な感覚も求められる」と話した。

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中島校長は教育新聞の連載「高校ALのタネ ― アクティブな学びを育てる学校経営論」を執筆した。


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