教師の日の普及目指す 「先生ありがとうフォーラム」

ユネスコが定めた「教師の日」を日本に普及させようと、東京青年会議所板橋区委員会は7月12日、「先生ありがとうフォーラム」を同区内で開いた。学校現場の多忙な状況と地域による学校支援を考えるパネルディスカッションや、教師の日をテーマにした劇の上演があった。教師の日に関心を寄せる地域住民ら130人が参加した。

学校に対する地域や保護者の支援の重要性を議論したパネルディスカッション

パネルディスカッションに登壇した板橋区教委の中川修一教育長は、学校現場の現状を「4トントラックに8トンの荷物を積んで走っているようなもの。走行距離も長く、いつ事故が起きてもおかしくない」とたとえ、複雑化した課題に対応しなければならなくなった結果、長時間労働を招いている現状を報告した。

スクール・アドバイス・ネットワークの生重幸恵理事長は「保護者が学校にいろいろなものを押し付けた結果、教師のストレスが増大している。地域、保護者、学校がやるべきことを整理して、一体となって次世代を育てなければいけない」と指摘。

板橋区が今年度から全ての区立小中学校に学校運営協議会を設置し、コミュニティ・スクールに転換したことを評価した。

教師の日の普及に関わり、厳しい環境の子供が多い学校に優れた教師を派遣する活動をしている「Teach For Japan」の松田悠介代表理事は、「ある教師に聞くと、教師は大変な仕事だが、卒業式で子供から『先生ありがとう』と言われるだけで来年も頑張れると話していた。『ありがとう』という言葉に込められたエネルギーに驚いた。感謝の言葉を言い合えれば、教師と子供、保護者、地域の間に信頼関係が生まれる」と強調した。

フォーラムでは、実際に教師の日にちなんで企画したイベントの実施事例が報告された。前板橋区立小学校PTA連合会長の沖田和雄氏は、小学校のPTAが主体となって教師に感謝を伝える会を企画。朝の全校集会の短い時間で、代表の児童が感謝の手紙を読み上げ、全校児童が「ありがとうございます」と教師らに伝えた。沖田氏は「大げさなものではなく、できることから始めればいい。保護者として、教師への子供たちの気持ちを伝える手助けをしたい」と話した。

東京都中野区にある私立の宝仙学園高校2年生の古井伊織さんは、東京都渋谷区の小学校で教師の日のイベントを体験し、昨年、進学先の同校でも実施することを企画した。生徒会長に教師の日の趣旨を説明し、粘り強く交渉。当日、1時間目が始まる前に教師に花束を贈った。

教師の日をテーマにした劇の一幕

古井さんは「教師の日を知っている人があまりいない。教師に対しさまざまな感情を持っている高校生に趣旨を説明し、実行まで持っていくのは苦労した。今年は全クラスで先生に手紙を読んで感謝を伝えたい」と意欲を語った。

教師の日をテーマにした劇では、教師の仕事の大変さを伝えるとともに、教師の日は子供や保護者の主体的で純粋な感謝の気持ちが大切だと会場に訴えた。
最後に主催者や登壇者らが「地域から先生を応援しよう」と宣言し、フォーラムは閉会した。

1994年にユネスコは、子供の教育活動に貢献している教師に社会が謝意を示す日として、10月5日を「世界教師の日」に制定。日本では渋谷区の一部の学校などで、子供が教師に花束や手紙を贈るイベントが行われている。板橋区でも今年、商店街などが中心となり、教師の日の企画を進めている。