進化する「部活動サミット」 生徒が主体性を発揮

静岡市の静岡聖光学院中学校・高校(星野明宏校長、生徒460人)で、昨年に続き2回目となる「部活動サミット」が開かれ、今年も全国からさまざまな競技の部活動が参加した。ラグビー部監督で部活動サミットの顧問役を務めた佐々木陽平教諭は「今年は昨年よりすごい」と胸を張る。進化した部活動サミットを通じて、生徒が主体性を発揮していく次世代の部活動の姿が見られた。


進化した部活動サミット

同校の部活動は週3回、平日1時間程度と短い練習時間ながら効果的な練習方法を編み出し、ラグビー部では静岡県代表として昨年度の第98回全国高校ラグビー大会に出場した。

生徒からの質問に答える平岡氏と畑教諭(右端)

ラグビー部前監督でプロデューサー出身という異色の経歴を持つ星野校長が築いた練習方法と実績を、現監督の佐々木教諭が受け継ぎ、生徒が自ら考え、行動する主体性ラグビーへと昇華させた。

そして、生徒の主体性が競技の枠を越えて発揮されたのが昨年の部活動サミットだ。クラウドファンディングで資金を調達。部員が主体的に活動する部活動の指導者を全国から招いて、その優れた指導法を教わった。

そして、2回目となる今年の「部活動サミット」は大きく進化し、7月14日、北は北海道から南は岡山県まで、9校・チームの部活動の生徒が参加して本番を迎えた。

初日のプログラムでは、まず、熊本県立大津高校サッカー部総監督で熊本県宇城市教育長の平岡和徳氏が講演し、生徒らに1日100分の練習でチーム力を上げる秘訣(ひけつ)を講義。平岡氏は生徒らに「今日話した内容をそのまままねるのではなく、自分のフィルターを通して、主体的に考えて、自分自身の行動に生かしてほしい」と語った。

講演後には、平岡氏と共に、広島県立高陽高校の畑喜美夫教諭も登壇し、生徒とのディスカッションが行われた。生徒から「部活動は頑張るけれど、授業はさぼってしまう。そういう生徒にはどうすればいいのか」と質問が上がると、平岡氏は「生徒以上に教師の責任が大きい。教師が授業で本気のオーラを出せば、生徒が寝るような授業にはならないはずだ」と答えた。

また、別の生徒は「公式戦で1回も勝てず、キャプテンと他の部員で温度差もある。この溝をどう埋めればいいか」と悩みを打ち明けた。畑教諭は「毎日ミーティングをやらないと温度差は埋まらない。じっくり時間をかけて、学年ごとや全体で自分たちは何のために部活動をやっているのかを話し合って、チームとしての方向性を定めなければいけない。クリアできそうな小さな目標を定めて取り組んでいくのと同時に、何に向かっているチームなのかを常に確認することが大切だ」とアドバイスした。

生徒同士で課題を真剣議論

グループディスカッションでは、参加した生徒同士が部活動の課題を話し合った。

生徒らによる白熱したグループディスカッション

「先輩と後輩の関係が難しく、うまい選手の意見が通りがちで下級生は自分たちの意見を言えない」(バスケットボール部)、「初心者が多い1年生は別メニューをやっているが、その指導がおろそかになってしまっている」(ラグビー部)など、グループごとに参加校が持ち寄った悩みが示され、生徒らは付箋にアイデアや意見を書き出していった。

最後にグループごとに意見をまとめていき、「毎日のミーティングでチームの目標を共有するようにしたい。練習を楽しくしたり、部活動以外の場面でチームメイトと関係を作ったりすることも大切だ」「いいことを伝えて褒め合うようにしていけば、チームの雰囲気もよくなる。そうすれば意見も言いやすくなる」「動画を作ったり、先輩が実際にプレーをやってみせたりして、競技の楽しさを分かりやすく伝えたい」など、それぞれの課題に対する解決策を発表した。

日本部活動学会会長の長沼豊学習院大学教授は「まさに生徒が主体的に動いている。地域も競技も違う生徒が、一堂に集まることに価値があるのではないか。部活動に対する生徒らの意識が高いからこそできる議論だ」と驚きの表情を浮かべた。

サミットに参加した生徒には、さまざまな思いがあったようだ。北海道札幌南高校2年生で、野球部員の河原生馬さんは「チーム体制が変わり、自分たちで部活動をやっていこうとしている中で、ヒントをつかみたかった。自主的に取り組む朝練習などを採り入れ、明治神宮野球大会への出場を目標に頑張りたい」と話した。

2年連続でサミットに参加した女子サッカーチーム、藤枝順心SCジュニアユースの青嶋希佳(ののか)さんは「昨年のサミットで、全員が大きな声でその日の目標を宣言する『全力朝礼』を教えてもらい、練習に採り入れたところ、試合でも声が出るようになった。他校の人との議論を通じて、自分たちがコミュニケーションする内容をより質の高いものにしていきたい」と振り返った。

サミット実行委員会代表の古杉航太郎さん(静岡聖光学院高校3年生)さんは「静岡だけでなく、いろいろな地域の部活動を知ることができ、刺激になった」と成果を実感していた。


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