高校統合で県と市、教職員組合が対立 埼玉県

埼玉県教委が県立高校統合・新校設置を提案したことに対し、地元の飯能市や県教職員組合らが案の撤回を求めるなど反発している。小松弥生県教育長は7月19日、記者会見で「丁寧にやっていたつもりだが、行き違いがあったことは残念だ」と語った。

県教委は今年6月、「魅力ある県立高校づくり 第1期実施方策(案)」を示し、1学年5クラス以下の県立全日制高校を対象に再編を進め、2029年度までに10~13校削減する方針を掲げた。具体的には23年度、飯能市にある飯能南高校と飯能高校を統合し、進学を重視する新校を開校。さらに、本庄市にある児玉白楊高校と児玉高校を統合し、農業、工業両科の実習を取り入れた普通科を併設した新校を開校するとした。

県の統合案に対し、飯能市議会は撤回を求める決議案を全会一致で可決。市長と市教育長連名の撤回要求書とともに県教委に提出した。決議は「地域に根ざした教育の機会を奪う」「進め方が一方的で、市民感情をあまりにも軽視している」などと訴えている。

大久保勝市長は、市への告知が6月中旬と唐突だったとして、「県教委が具体的な協議や調整などの手順を怠った」と批判した。

本庄市議会も「県立高校の統合を慎重に審議することを求める意見書」をまとめた。

これに対し県は、計画通り推進する考えを定例県議会で改めて示し、小松教育長は「県立高校を計画的に再編整備していくことは避けては通れない」と強調。「市教委などを訪問して県の考えを説明してきたが、第1期の対象となったことが唐突と受け止められたと考えている」と語った。

こうした県の動きに、県高等学校教職員組合は「再編によって事実上廃校となる飯能南高校、児玉高校は、スポーツコースを備えるなど特色ある学校だ。統合によって特色が失われる」と反発。▽電車通学による負担が増す▽飯能市の新校が進学に重点を置く学校になれば、学力の低い生徒の選択を狭める――などと指摘し、現存する県立高校を維持するよう求めている。7月17日には、さいたま教育文化研究所などと合同で会見を開き、「再編は県立高校つぶしであり、地域の衰退につながる」と訴えた。

県教委ではこの問題についてパブリックコメントを公募している。教育新聞の取材に対し、「21日時点では21件の意見が寄せられ、うち12件が統合案に対して反対を訴える内容、3件が説明を求める内容だった」と語った。

反対意見では「地元の声をもっと聞くべきだ」「少人数学級などで学校を維持すべきだ」などがあり、統合に積極的なものでは「外国籍の子供に高い教育を受けさせる学校にすべきだ」などがあるという。

パブコメは7月23日まで受け付け、その結果を基に9月以降、具体的な方策を決める方針。

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