普通科改革を中心に協議スタート 中教審高校改革WG

中教審は7月25日、高校改革について集中的に議論する「新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ」(高校改革WG)の初会合を開いた。検討事項として①普通科改革など学科の在り方②地域社会や高等教育機関との協働による教育の在り方③定時制・通信制課程の在り方――の三つを挙げ、当面は①と②を中心に協議を進めることを了承した。1994年の総合学科の導入以来、「四半世紀ぶり」(文科省)という高校制度の本格的な見直しがスタートした。

議論をスタートさせた中教審の高校改革WG。発言者は岡山県立和気閑谷高校の香山真一校長

中教審では、Society5.0時代に向けて初等中等教育の包括的な見直しに着手しており、義務教育の小・中学校については「新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会」ですでに審議が始まっている。高校改革については、特別部会の下部組織として高校改革WGを新たに設置して集中的に議論を進める。高校改革WGは今年10月または11月に検討状況を特別部会に報告する予定だ。

初会合では、議論を取りまとめる主査に大谷大学文学部の荒瀬克己教授、主査代理に京都府教育委員会の橋本幸三教育長を選出。文科省担当官が、高校への進学率が98.8%となっている一方、親や先生に勧められるなど消極的な動機で学校を選んだ生徒を中心に満足度が低く、学習意欲や自己肯定感が低い生徒が増えているといった高校生の現状と課題を説明した。

フリーディスカッションでは、出席者がそれぞれの立場から高校改革の課題について意見を述べた。

「京都府教委の指導主事らに意見を聞いたところ、履修科目を今の半分くらいに減らして時間をつくらないと、生徒たちがやりたい学びができない。通信制のN高校を希望する生徒が増えているのは、やりたいことをどんどん追究できるから。そういう環境を整えることが必要だ」(京都府教委の橋本教育長)

「高校と地域社会が協働するには、個人の属性ではなく、特定のリーダーがいなくなっても持続できる態勢が必要。次に、コーディネートできる人材の育成。そして、地域との協働には時間がかかるので、主体的に対話しながら進めるプロセスが重要になる」(地域・教育魅力化プラットフォーム共同代表・島根県教育魅力化特命官 岩本悠氏)

「人口が減少する中、地方の高校は他地域からも生徒が入学したくなるようにしなければならない。死んだような目をして、仕方なく教室に座っている生徒が全国の普通科高校にたくさんいる。これが問題だ。生徒がわくわくする状況をつくれば、中山間地域であっても高校は活性化できる」(岡山県立和気閑谷高校 香山真一校長)

「私の学校では普通科と定時制を一緒にやっているが、そうした複線化も必要だ。不登校が理由で通信制に在学する生徒、特別な支援が必要な生徒、日本語に問題がある外国人の生徒、こうした生徒たちをどう社会につなげていくか、高校の大きな課題だと思う」(神奈川県立厚木清南高校 山口正樹校長)

「私立高校の立場から見ると、普通科に特色があるのは、当たり前のこと。いまさら何を言うのか、という感じもある。公立高校は適正配置で、人口に応じてつくってきた。私立は基本的にそれぞれのニーズがある学校をつくる。汎用(はんよう)的なものを求める学習指導要領は結局、普通科志向ではないのか。そういう普通科は結局、大学入試に引っ張られてしまう。大学入試で個人の探究を評価するようにならないと、普通科は変わらない。これが課題だと思う」(順天中学校・高校 長塚篤夫校長)

最後に議論の取りまとめ役を務める荒瀬教授が、初等中等教育を包括的に見直す契機ともなった教育再生実行会議の提言に触れ、「大学改革で求められている三つのポリシーが高校にも求められている。3年間学んでどういう資質能力を身に付けるのか、それを高校は明らかにしているのか。そのためにどのようなカリキュラムを用意するのか。さらには、そのカリキュラムで学ぶのにふさわしい生徒をどう選抜するのか。こうした大きな枠組みが問われている。きょうの出席者の意見も、大きな枠組みで考えていくことが必要だ」と話した。