共通テスト英語民間試験「不安増すばかり」 全高長が要望書

大学入学共通テストの英語民間試験活用を巡り、全国高等学校長協会(全高長)は7月25日、高校の不安解消を求める要望書を、萩原聡会長(東京都立西高校長)が文科省の伯井美徳高等教育局長に提出した。全ての実施団体から資格・検定試験の詳細が公表されていないため、生徒への指導や来年度の年間行事計画作成に支障をきたしているとして、早期の対応を求めた。

伯井高等教育局長に要望書を手渡す全高長の萩原会長

要望書では、TOEICの参加取り下げなどを挙げ、「枠組みの全体像が明確になっていないため、不安は増すばかりであり、教職員をはじめ、生徒・保護者からの問い合わせにも、校長として責任ある回答ができず、説明に苦慮しているのが実情」と説明。

不安を抱いているのは、①生徒が希望する時期や場所で試験を受けられる見通しが立っていない②受験に対して地域格差、経済格差があり、その対応が不十分である③実施団体の検定試験の周知に計画性がなく、詳細が明確になっていないため、生徒への指導や来年度の年間行事計画が立てられない④試験の実施方法や採点方式、結果の周知時期など、公平、公正性に対する不信が払拭(ふっしょく)されていない⑤活用方法を明らかにしていない大学がある⑥障害のある受験生への配慮が実施団体によってばらつきがある――の6点だとして、文科省に一刻も早い事態の収拾を求めた。

全高長会が7月8日に開催した研究協議会では、全ての都道府県の校長から、資格・検定試験に対する懸念の声が上がり、「不安を払拭できなければ、実施体制が整うまでは実施を見送るべきだ」という意見もあったという。

文科省で記者会見する全高長の萩原会長

要望書の提出後、文科省で開かれた記者会見では、全高長常務理事で神奈川県立湘南高校の稲垣一郎校長が「実施団体からばらばらにプレスリリースが出され、高校現場では教職員や保護者、生徒も混乱している。遅くとも8月中旬までには、各団体で資格・検定試験の詳細な情報を公表し、文科省で取りまとめた上で各高校に提供してほしい」と話した。

萩原会長は「伯井局長からは、『真摯(しんし)に対応し、情報公開していきたい』と応じていただいた。もう来年度の修学旅行や部活動の大会の日程を組まなければならない時期だが、実施団体からは試験日程の情報が示されていない。文科省が中心となって、不安解消に動いてほしい」と訴えた。

全高長では今後、民間資格・検定試験の実施団体や大学などに対しても、要望を行っていく方針。

本紙電子版「Edubate(読者投票) 大学入学共通テストへの移行 不安?」 では25日午後7時現在、「不安を感じている」は92%、「感じていない」は3%、「どちらともいえない」は5%と、不安を抱いている読者が圧倒的に多い数字となっている。

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