ストレス解消に「涙活」を 養護教諭が「泣くこと」学ぶ

明日笑うために、今日泣く――。「涙活」セミナーが7月26日、川崎市内で実施された。同市内の学校に勤務する養護教諭120人が参加し、涙を流すことの効果や泣き方のポイントなどについて指導を受け、感想を共有した。

川崎市の養護教諭を対象とした「涙活」セミナー

講師を務めたのは、感涙療法士の吉田英史氏。高校教員やスクールカウンセラーの経験があり、相談中に泣き出す生徒ほど早く立ち直ると気付いたことから、「涙には人をスッキリさせ、立ち直らせる効果がある」と考えるようになったという。

2014年には東邦大学医学部の有田秀穂名誉教授と共に、認定資格「感涙療法士」を創設。現在では180人がこの資格を取得している。

セミナーではまず涙活について説明。「2~3分だけでも意識的に泣くこと」とした上で、「ドライアイへの対応や『玉ねぎを切ったとき』などの反射的なものと違い、感情が動かされて涙を流すと、交感神経が優位な状態から、副交感神経が優位な状態に切り替わる。脳がリラックスし、ストレス解消などメンタルヘルスの向上につながる」と説明。

「学校現場にいたからこそ、教員がいかにストレスを受ける職業か分かる」といい、「涙は1粒流しただけで1週間、ストレス解消効果が持続する。自分の泣きのツボを見つけ、1週間に1回泣いてほしい」と訴えた。

効果的な泣き方のポイントは、▽感動の涙を流す▽自分だけの泣きのツボを見つける▽泣くことに集中する――の三つだとして、吉田氏が厳選したという「泣ける動画」の上映と、「泣ける物語」の朗読を実施。

その後は参加者が、泣ける話「なみだ作文」を創作。子供と接した際の「泣けた感動秘話」を書いて、3~4人が発表した。続く「泣き言セラピー」では、一人一人が書き出した弱音や愚痴を木箱へ。吉田氏の代読を通じて互いの本音を聞き合った。

最後はグループごとに、自身が涙を流した背景を考え、ストレス状況を把握する「涙友タイム」。終了後、参加者は「自分の泣きのツボが分かった」「これから1週間に1回泣こうと思う」と口々に語り合った。

「なみだ作文」を発表し合う生徒

吉田氏はこの涙活セミナーを学校でも実施しており、7月18日には東京都立足立特別支援学校(並木信治校長、生徒199人)で、高等部の生徒全員を対象に実践した。同校は高等部単独の知的障害特別支援学校で、「高校生の段階から、メンタルヘルスケアなど自らの健康課題を意識させることは重要だ」と考え、保健体育の授業に取り入れたという。

「これまで自分が頑張ってきたこと」と題した「なみだ作文」を発表では、それぞれが乗り越えてきたつらさに共感し合い、激しく泣く様子が見られた。参加した生徒は「泣きそうにない人が泣いていて驚いた」「皆の意外な一面を知ることができてよかった」と感想を述べた。

吉田氏は「日本の学校教育では、我慢すること、いい子でいることを強いられることが多い。その結果、自分を抑え込み、生きにくくなっている現状がある。泣くことは感情の中でもっとも強くその人らしさが出る。感情を解き放つことで、本来の自分らしさが見え、自分を見つめ直すきっかけになる」と語った。

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