子供の貧困対策の新大綱に向け提言 SSWで見守り強化

内閣府「子供の貧困対策に関する有識者会議」は7月29日、第14回会合を開き、次の「子供の貧困対策大綱」に向けた提言を取りまとめた。高校中退を未然に防ぐことや継続的な相談支援、スクールソーシャルワーカー(SSW)を核に学校と地域による子供の貧困対策、見守り体制強化などを盛り込み、子供の貧困に関する指標の見直しを求めた。

提言を取りまとめた有識者会議

改正「子どもの貧困対策推進法」を踏まえ、これまで以上に実効性のある対策を実施していく必要があるとして、提言では①親の妊娠・出産期から子供の社会的自立までの切れ目ない支援②自治体の子供の貧困対策に関する計画策定や取り組みの充実③支援が届かない、届きにくい子供や家庭の早期発見・支援――の三つの方向性を打ち出した。

教育に関しては、SSW配置を引き続き促進するとともに、SSWがしっかり機能する体制をつくり、SSWを中心に学校がプラットホームとなり、地域の関係団体などと連携して子供の貧困対策に取り組むことを強調した。

また、貧困状態にある子供の高校中退を未然に防ぐため、学習・生活面の支援の充実と同時に、中退後も学習支援など継続的にサポートすることや、児童養護施設を退所した子供たちが退学や離職した際の、相談体制整備の必要性を指摘した。

子供の貧困対策の実施状況や対策効果を評価するための指標では、従来の就学援助制度に関する周知状況や生活保護世帯、児童養護施設、ひとり親家庭の子供の就職率などを削除する一方、SSWの対応実績や新入学児童生徒学用品の入学前支給の実施状況、給付型奨学金の利用者数などを新たに加えた。

会合に出席した末冨芳日本大学教授は「困難な家庭の子供ほど安定した就学が難しく、不登校や高校中退につながりやすい。学力ばかりを重視すれば、彼らにとって学校は居心地の悪い場所になる。学力以前に、学びへの意欲や大人との信頼関係を築くための支援が必要だ」と述べた。

有識者会議座長の宮本みち子放送大学客員教授は「子供の養育責任は保護者にあるという日本の風潮が、子供の貧困対策の足かせになっている。特に教師をはじめとする子供と接する職業では、子供が汚れた服を着てくれば、親がだらしないからだと考えてしまうなど、必ずしも貧困に対する意識は高くないと感じる。子供は社会一丸で育てるという強いメッセージを出すべきだ」と指摘した。

宮腰光寛内閣府特命担当相は「大綱によって、子供の貧困対策が進展した一方、進展したからこそ新たに見えてきた課題も分かった。議員立法で成立した『子どもの貧困対策推進法』が改正され、政府としても子供の貧困対策をしっかり進めていく。大綱ができたこの5年間で、全国各地に子供食堂やフードバンクが広まり、子供の貧困問題に対する社会の関心は高まった。全ての子供が夢や希望に向けて頑張れるよう、提言を生かして早急に新たな大綱を策定したい」と強調した。

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