若者が地域で学ぶ価値 生涯学習分科会でワークショップ

親や教師ではない大人と、子供との斜めの関係をどうつくっていくか――。中教審の生涯学習分科会は7月30日、第103回会合を開き、中学生や高校生の地域での学びをテーマに、異例のワークショップ形式での議論を行った。地方でまちおこしのプロジェクトを企画した高等専門学校の生徒が登壇し、中学生や高校生が地域の大人と関わりながら、地域の価値を見直す意義を提言した。

自身が企画したアンブレラスカイプロジェクトについて説明する穐田さん

事例報告とワークショップを取り仕切った、生涯学習部会委員の今村久美カタリバ代表は「高校生は自分が自由に使えるほとんどの時間を、スマートフォンによるコミュニケーションに費やしている。SNSなどでのやり取りは自分と同質な人とばかり関わることになり、自分と異質な人たちと出会い、刺激を受ける機会が少なくなっている。中学生や高校生が、親や教師以外の大人と斜めの関係をどう築くかが、これからの社会教育の課題だ」と問題提起した。

それを受けて、地域の大人と中学生や高校生が対話しながら、まちづくりに関わる「ライフキャリア教育」に取り組んでいる島根県益田市教委の大畑伸幸社会教育課長と、宮崎県日南市の商店街で、老朽化から撤去されたアーケード部分を利用して、色とりどりの傘で覆った「アンブレラスカイプロジェクト」を企画した国立都城工業高等専門学校2年生の穐田(あきた)南海さんが登壇し、地域と中学生、高校生を結び付けた学びの必要性を訴えた。

大畑課長は「これまでは職業観に偏ったワークキャリア教育をしてきた。学校で仕事探しを強調すると、子供は『田舎には何もない』と考え、都会志向になりがちだ。そこで、自分がいかに生きていくかを、地域のロールモデルとの対話を通じて考えるライフキャリア教育に転換した。中学生が地域の公民館のリノベーションをしてくれたり、地元に就職を希望する高校生が増加に転じたりするなど、成果が出始めている」と強調した。

異例のワークショップ形式が採り入れられた会場

中学生のころに、学校の探究学習の一環で地元の油津商店街のまちづくりに興味を持った穐田さんは、商店街の活性化のためにアンブレラスカイプロジェクトを計画し、クラウドファンディングによる資金調達や地元企業、行政との交渉などを行い、プロジェクトを実現させた。商店街にカラフルな光が降り注ぐ光景はSNSで話題になり、商店街を訪れる観光客の増加につながった。

穐田さんは「プロジェクトを通じて、地方に生まれたことは私の強みだと思うようになった。田舎は何もなくてつまらないという若者の意識を変えたい。自分から積極的に動けば、地域はこんなに楽しくて、周りにはサポートしてくれる大人がたくさんいることに気付いた。地域と中高生をつなぐ役割を担い、これからも商店街に恩返しをしていきたい」と語った。

出席した委員はこの後、事例報告で得た気付きや意見を付箋に書き込み、グループに分かれて意見交換した。委員らは社会教育と学校教育をつなげる仕組みの在り方などを話し合った。