発達障害の食の困難でフォーラム 「適切な発達支援を」

「発達障害の食の困難と発達支援」と題したフォーラムが8月2日、東京都東久留米市の東京学芸大学附属特別支援学校(内田賢校長、児童生徒67人)で開催された。東京学芸大学と同校の共催で、講演とパネルディスカッションが行われ、教員ら約100人が聴講した。

講演する東京学芸大学の髙橋智教授

東京学芸大学の髙橋智教授は、「本人・保護者調査からみた発達障害と食の困難」の演題で講演。冒頭で「発達障害と食の困難、感覚過敏との関係が近年の研究で分かってきた」と述べ、「食べられないのは、ただの好き嫌いやわがままでも親の育て方のせいでもなく、生理学的な問題。必要なのは摂食などの適切な発達支援だ」と強調した。

先進的な事例として、広島市西部こども療育センターの取り組みを紹介。同センターでは、同じ料理でも軟らかい食感が苦手な子供には食材を素揚げしたり、警戒心が強い子供にはイラストカードで何の食材か一つ一つ伝えたりして、安心感を持って食べられるよう工夫しているといい、「9割以上の子供が通常給食を食べている」と伝えると、会場から驚きの声が上がった。

また自身の研究から、「食に関して身体症状や感覚過敏がある子供には、自分で選んだ食べ物はおいしく味わえたり、自ら愛情を持って育てた食材が食べられるようになったりする傾向がみられる。自分で選ぶ機会を設けたり、食材への興味を引き出したりする支援が有効だ」と付け加えた。

続いて立命館大学の田部絢子准教授が、「教師・栄養職員調査からみた発達障害と食の困難」をテーマに講演した。

発達障害当事者の食に関する調査から、「集団の中でどう振る舞えばいいか分からず、会食が苦手」「大人数の食事は、音や匂いの情報があふれてつらい」「予想していた味と違うと食べられない」といった困難が挙げられるケースが多いとし、「学校給食の喫食状況や調理方法、説明の仕方を見直す必要がある」と指摘。

「特別支援教育では『専門性』の重要さが語られがちだが、真に大切なのは当事者の声を起点にした支援。慣れることばかりを求めるのではなく、子供が抱える不安や緊張を丁寧に把握し、子供や保護者がストレスを抱え込まないよう、多分野の専門家が協働して支援するシステムをつくってほしい」と述べた。

パネルディスカッションでは、NPO「すくすくはあと」の土崎幸恵代表理事や、発達障害当事者らが登壇。

土崎代表理事は、自身の子供がADHDの診断を受けたが、「学校では理解されず『家庭でもっと料理を工夫して』と言われ、ほかに2人の子供も抱えている中で苦しかった」と振り返った。

広汎性発達障害の診断を受けたという早稲田大学4年生の白石歩美さんは、食べることを強制されるつらさを語り、「これまで『何でも食べることがえらい』と言って子供に無理をさせてしまっていたら、謝ってあげてほしい。楽しい雰囲気の中でいろいろなものを食べる経験をさせ、おいしいものがたくさんあると教えてあげてください」と訴えかけた。