2025年の教師の姿を予測 教育展望セミナーがスタート

教育現場の最新課題を議論する「第48回教育展望セミナー」(教育調査研究所主催)が8月5日、「これからの時代に向けた教育の改革と創造 ―AIの時代を視野に入れた教師力―」をテーマに、都内で2日間の日程でスタートした。初日となった5日には「AIやSociety5.0の時代を踏まえて学校はどう変わるべきか」と題してパネルディスカッションが行われ、教員ら約200人が参加。新学習指導要領の全面実施に向け、ICTを活用しながら、これからの教師に求められる力について議論が交わされた。

会場からの発言を受けて議論を深めるパネリストら

パネリストは、東京学芸大学副学長の松田恵示教授、文科省初等中等教育局の安彦広斉視学官、信州大学学術研究院教育学系の東原義訓教授、教育調査研究所の寺崎千秋研究部長(本紙論説委員)。千葉大学の天笠茂特任教授がコーディネーターを務めた。

松田教授は、Society5.0の時代を生きる児童生徒に育みたい力として、①基礎的読解力・数理的思考力②高度情報活用能力③人間力――の3つを挙げ、高度情報活用能力を学びの基盤として重視するとともに、AIが持っていない人間力を育てていくことがなによりも重要だと指摘した。

その上で、こうした力を育むために求められる2025年に予想される教師の仕事について、松田教授は学習指導、生徒指導、校務その他に分けてイラスト入りのイメージ図を示した。

学習指導では①アダプティブ・ラーニングとアクティブ・ラーニングが学びを変革し、一斉一律・同一学年集団学習から脱却する②デジタルベースでの学習教材のアーカイブ化が整備され、授業の準備が効率化される③学習履歴の蓄積と活用によって学習支援と学びの在り方が変革される④多様な外部人材が教員スタッフとして学校に常駐するようになり、外部と連携したチームアプローチによる指導が日常化する――と予想した。

生徒指導では、画像認識機能などの利用で児童生徒の登下校指導が自動化され、朝夕の業務時間を授業の準備に使えるようになったり、特別支援や不登校、いじめなどの情報が共有され、教員以外の職種とも連携した支援・指導ができたりするとした。校務についてもICT活用によって公文書の自動作成や勤務時間の最適化が進むとの予想を示した。

安彦視学官は、日本の教育が抱える課題として、高校生の自己肯定感の低さと、教員の自己効力感の低さを指摘。学校現場にはなかなかICT活用に踏み込めない状況がある実情について、「AIを使うことで知識・技能が効率的に習得できる事例がある。食わず嫌いをなくすためにも、エビデンスを見せていくことが大事だ」と説明した。

AI時代の教育課題について説明する松田恵示教授(左端)

東原教授は、Society5.0時代に対応した子供を育てることができる教員の養成について、長野県の事例を紹介。教員養成課程でICTの活用を義務づけている事例などを紹介した。

寺崎研究部長は、Society5.0の時代に向けて、教員に対する研修の重要性を強調。「教委がきちんと計画をたて、教員が研修に出ていくことができる環境を作らなければならない」と指摘した。

パネルディスカッションの最後には、コーディネーター天笠特任教授が「未来は私たちの心の中にある。教師は主体性を大切にしてほしい。そして、教師はバランスのとれた導き手であってほしい。さらに、教師自身が学び続けることが変化の時代には重要だ」と述べ、会場を埋めた教員らにエールを送った。

セミナーは6日も開催され、経営部会、小学校部会、中学校部会の分科会に分かれて提案とディスカッションを行う。