タグラグビー×プログラミングで 教員向けワークショップ

STEAM教育とスポーツを掛け合わせた教員向けのワークショップが8月8、9日の両日、千代田区立麹町中学校で開催され、小中学校の教員およそ20人が参加し、タグラグビーに挑戦したり、プログラミングを用いて戦略を考えたりした。プログラムを立案したSTEAM Sports Laboratoryの中島さち子取締役や東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンターの田中香津生助教が講師を務め、同志社女子大学の上田信行特任教授がゲストとして参加した。

タグラグビーの実践では白熱したゲームが展開された

このプログラムは、タグラグビーの実技に、ボードゲームやプログラミングを組み合わせ、実践で直面する問題の解決や戦略策定を行う内容。中島取締役が立案したもので、経産省の「未来の教室」実証事業に採用され、全国の小・中・高校で実施されている。タグラグビーは、通常のラグビーと違い、タックルの代わりに腰の両サイドにつけたタグを取られないようにしながら相手のゴールにボールを運ぶゲームだ。

今回のワークショップでは、小学校の体育での導入をイメージし、タグラグビーの実践と、ボードゲームやプログラミングによるプログラミング的思考を育むための講義が交互に行われた。

まず教員らは体育館でタグラグビーの実技を体験。実際に子供たちにタグラグビーを教えている、元プロラグビー選手の石川安彦コーチが指導にあたった。授業の導入部分で取り入れるウオーミングアップや、1対1など少人数からプレーし始め、ルールを理解する過程を学んだ。

次に教室に舞台を移し、先ほどのゲーム中に撮影した動画を見ながら自分たちの動きを分析。ボードゲームを使って攻撃と守備の動き方を研究し、最短距離で効率的にゴールに進むパターンをグループに分かれて話し合った。

田中助教は「例えば、1対1のゲームでは、いかに相手に目の前に付かれないかが鍵になる。ゲーム中は夢中で気付かなくても、ボードゲームで俯瞰(ふかん)すると、子供たちは自分で発見できる」と説明した。

ボードゲームでの気付きを生かし、再び体育館でタグラグビーの実技に挑戦。本番と同じプレーヤー数の5対5でプレーし、動き方やチームの連携法など新たな課題を洗い出した。

次は専用のソフトで、AIやプログラミングを活用しながら戦略を練っていくワークに取り組んだ。2回目の実践を振り返った上で、タグラグビーのコートに見立てたパソコン上のボードでAIと対戦したり、AIの攻めや守りの特徴を分析したりした。

さらに、AIが強くなるようにプログラミングに挑戦。「前に行きたい気持ち」「敵から逃げたい気持ち」「敵からの距離が近いのでボールをパスしたい気持ち」――などプレーヤーがゲームで抱きがちな五つの傾向を数値化してどの組み合わせにすると強くなるのかを実験し、それを自身のチームの戦略に落とし込んだ。

プログラミングを使って戦略を練る教員ら

また授業で導入した場合を想定して意見を交換。教員からは「タグを取られるのが嫌で前進できない子供もいるだろう。チームで協力して前に進んでボールを運び、点数を入れることが、ゲームの目的だと自分たちで気付かせる必要がある」「チームで動きの共有ができていなければ混乱することが分かった。子供たちの間で迷いが生まれないよう、動画を撮って見せたり、ボードゲームを使った動き方の検証を取り入れたりしたい」などの意見が挙がった。

講師の中島取締役は、「このプログラムでは、メタ視点や思考の言語化、振り返る力を育むことができる。子供たちがゲームの中で試行錯誤し、自分で考えられる力を付けることで、自分の可能性を発揮する方法を理解し、どんどん自己発信できるようになるだろう」と狙いを語った。

ゲストの上田特任教授は「子供たちはタグラグビーの実践と机上の分析を連動させ、自分はどんな役割を担うべきか考える。つまり、自分の力を正しく理解して、活用できる力を身に付けていくことになる。これはスポーツだけでなく、さまざまな分野に生かせることだろう」と感想を話した。