授業観の転換や学級経営のUD化 筑波大附小で全国大会

授業のユニバーサルデザイン(UD)に関する「知見の蓄積」と「授業力向上」を目的とした日本授業UD学会が主催する「学級経営研究全国大会」が8月15日、筑波大学附属小学校(東京都文京区)で開かれた。UD化された学級経営の理論と方法について、現場教員や研究者らが講演し、教員ら約150人が聴講した。

講演する筑波大学附属小学校の桂聖教諭(左)

同学会によると授業のUDとは、「特別な支援が必要な子を含めて、通常学級の全員の子が、楽しく学び合い『わかる・できる』ことを目指す授業デザイン」。建築物や製品のデザインから生まれた考え方を、授業づくりにも生かすものだという。

基調講演で、同学会理事長を務める筑波大学附属小学校の桂聖(さとし)教諭は、授業をUD化する観点から学びのモデルを示し、▽参加し、活動する▽理解する▽習得し、身に付ける▽活用する――の4ステップを段階的に上がれるとよいと説明。

そのために教師に求められるのは指導法レベルの工夫ではなく、「全員参加の授業をつくることが大切」という教育哲学だとした。

また、「教師は授業観を転換させる必要がある」とし、「『正解を発表し合うことが授業だ』と捉えていると、参加のハードルが高くなり、集団がバラバラでも授業が成立することになる」と指摘。「『授業とは困ったことを皆で解決していく場だ』と考えて授業を展開すれば、参加のハードルが下がり、互いの関わり合いが重要になる」と述べた。

「そのためには教師のファシリテーション力が鍵となる」として、▽子供の発言を解釈して伝える▽子供同士で分かるように説明し合うきっかけをつくる▽子供の意見の良さを見つける――など、教師の働きかけが必要になると語った。

同学会の学級経営部会で部長を務める、上越教育大学の赤坂真二教授は「学級経営のUD化とは」と題して講演。「生きにくさ」を抱える子供について、「『過ごしやすい環境』をつくることのみに学校や教師が関心を持っていると、社会に対して閉じた内向きの教育になり、学校の中でしか生きていけない子供を量産することになる」と強調。

輪になって行う「クラス会議」など、子供が互いに相談し合ったり、協議した内容をフィードバックし合ったりできる場を設けることが重要だとし、「協働的な問題解決をする力を育成することが、UD化された学級の形成につながる」と締めくくった。