運転免許返納テーマの授業事例など紹介 法教育セミナー

法務省主催の教員向け法教育セミナーが8月20日、都内で開催された。成年年齢の引き下げや新学習指導要領の本格実施に向け、法教育を学校現場で実施する必要性を伝えるのが狙い。教員ら約100人が参加し、講演のほか、法教育推進協議会が作成した教材を活用しての模擬授業などが行われた。

基調講演する一橋大学大学院法学研究科の小粥太郎教授

同協議会で教材作成部会委員を務めた、福井大学学術研究院教育・人文社会系部門の橋本康弘教授は、「新学習指導要領における法教育の位置付け」のテーマで基調講演。

法教育の基盤となる社会科・公民科の学習活動について、「従前の学習指導要領では、プレゼンテーションやポスター作成など、分かりやすく表現する活動が主で、思考・判断のプロセスは軽視されていた。新学習指導要領では、自分と他者の意見や考え方を発展させ、合意形成に向かおうとする力を育成することが重視される」と指摘。

「もう一歩踏み込むことができる授業力が求められる」と述べ、具体的な事例として、「高齢者の運転免許返納の義務化の是非について考えよう」をテーマとした授業を挙げ、「都市と地方の交通網の比較」「高齢者が免許返納を断る理由」「交通死亡事故の人的要因比較」といった多様な資料を提示し、世代間および地域間の公正という視点から考え、議論する活動を紹介した。

同部会で総監修を務めた一橋大学大学院法学研究科の小粥太郎教授は、「法教育における民法のエッセンス」と題して基調講演。

学校現場で契約法について教える際に、▽自律的な社会を構築するためのルールである▽「自分で決めた」という点が重要で、だまされたり脅されたりした契約は成立しない▽法にも限界がある――といったポイントを押さえて指導すべきだと述べた。

法教育推進協議会の教材を活用した模擬授業

分科会では、小・中・高校に分かれて模擬授業を実施。東京都東久留米市立本村小学校の櫻井正義主任教諭が、子供同士での物の貸し借りを巡るトラブルを題材にした小学生向けの教材「約束をすること、守ること」を用いて授業を行った。

同教諭は小学生の実態から、借りる側には「借りたものを大切にしない」「期限などの約束を守らない」、貸す側には「期限などをはっきりさせずに貸す」「人間関係や力関係があり、断りきれず貸してしまう」などの問題が生じる場合があるとし、▽約束の内容は自由に決めることができる▽約束した内容を守らないと、相手に迷惑が掛かる――などを理解させることが大切だと述べた。

小学生対象の法教育授業を実施するための教員向け教材は、法務省のサイトで公開されている。

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