「知的障害者が学べる環境を」 神戸大が新たな取り組み

神戸大学が10月から、知的障害のある人に学びの場を提供する「学ぶ楽しみ発見プログラム」を開講することが、8月21日までに分かった。文科省からの委託研究事業で、2020年度も続ける予定。

今期のプログラムは19年10月から20年2月までの半年間で、週3回実施する。同学大学院人間発達環境学研究科の教員らが、障害に応じて授業を進める。プログラム参加者は教育学や哲学、心理学の授業と地域交流に参加するほか、取り組みたいことを話し合って計画を立てながら、研究や創作活動も行う。同学の学生と共に授業を受講することもできる。

プログラムの担当者は「知的障害のある人は、大学での学びを受けにくい現状にある」と説明し、「大学での学びは、人生や将来について考えることにつながる。障害者の学ぶ環境が全国で整備されるといい」と展望を語る。

文科省が8月8日に公表した19年度学校基本調査の速報値では、兵庫県内の特別支援学校に在籍する児童生徒数が前年度確報値から96人増の5766人と、19年連続で増加していることが分かった。県教委は「特性に応じた教育が普及し、学校の受け入れが進んでいる」とする一方、8割程度を占める知的障害がある生徒の、卒業後の学習の場が整備されていないことを課題としていた。

同県では大学・短大に進む高校卒業生の割合が60.9%なのに対し、特別支援学校高等部を卒業した知的障害がある生徒のうち、大学や特別支援学校の専攻科に進学するのは例年0.5%程度にとどまるという。

同学ではこうした事態を背景に、これまでにも韓国から知的障害がある学生を含む約20人の学生を招き、日韓学術交流セミナー「知的障害者が大学で学ぶということ」を実施するなどしていた。

また、文科省が18年2月に設置した「学校卒業後における障害者の学びの推進に関する有識者会議」で委員を務めた同研究科の津田英二教授は、会議で「韓国のナザレ大学では知的障害者を正規学生としてしっかりと育て、卒業後も面倒を見ていくという体制を作っている」と述べ、同学と協働して研究を進めていることを明らかにしていた。