つらい記憶を希望の象徴に 被災地の高校生がワークショップ

東日本大震災の被災地の、役目を終えたプレハブ仮設住宅のアルミ建材を再利用して制作され、東京オリンピック・パラリンピック大会の会場で展示する「東京2020 復興のモニュメント」について考えるワークショップが8月22日、岩手県立大槌高校であった。被災地の高校生が対象で、主催は東京2020大会組織委員会。東京都や被災3県、東京藝術大学、LIXILなどと連携して実施した。

モニュメント制作の材料となったプレハブ仮設住宅(c)LIXIL

同モニュメントは被災地と世界を結ぶシンボルとして展示され、大会終了後は出場選手らのサインやメッセージを添えて、被災地に大会レガシーとして設置される。被災3県の仮設住宅計824戸の窓など、再生アルミ2トンを利用し、各県1基ずつ作られる予定。福島県は8月19日、宮城県は20日に決まった。

ワークショップには同校の生徒90人が参加し、東京藝大生5人が考えたデザイン案から1つを選んで投票した。採用されたのは同学3年の福井汐音(しおね)さんの作品。カットされた宝石をモチーフにした像で、支援に対する子供らの感謝の気持ちを原石と捉え、復興に向けて被災地の未来が輝かしいものになるよう心から願ってデザインしたという。

デザインが決まると、生徒は33のグループに分かれ、県内全33市町村からのメッセージをグループごとに一つずつ担当。メッセージを伝えるボードを制作した。「墨で書くと、より伝わりやすいのでは」「イラストを加えたら目を引くのでは」といった意見が出され、色やレイアウトなど工夫を凝らした。

ワークショップ終了後、生徒らは「支援に対する感謝を届ける活動に、岩手県が参加できてよかった」「岩手県や大槌町の魅力を発信できる貴重な機会になった」「今まで支援してもらった分、今度は自分たちが選手を応援したい」と話した。

岩手県の「復興のモニュメント」に選ばれたデザイン(東京2020組織委員会提供)

「復興のモニュメント」プロジェクトの発表会は7月17日、都内で開催され、プロテニスプレーヤーの錦織圭選手と、お笑いコンビ「サンドウィッチマン」の伊達みきおさん、富澤たけしさんも駆けつけた。

震災発生時、被災地に滞在していた伊達さんと富澤さんは「解体された仮設住宅がどうなるのかと思っていたらモニュメントになると聞き、素晴らしい試みだと感じた。心からうれしい」「仮設住宅はつらい生活の象徴だと思われるが、こうして形を変えて世界やアスリートと結びつくことで、見た人がポジティブな気持ちになれる」とコメント。

錦織選手は会場で開かれた再生アルミ納入式に参加し、「この活動をきっかけに、被災地への思いがさらに強くなった。東京大会はメダルが取れるように頑張り、さまざまな形で被災地への関わりを増やしていきたい」と意気込みを語った。