AIが読める学校HPを無償提供 新井紀子氏が新プロジェクト

国立情報学研究所の新井紀子・社会共有知研究センター長は8月27日、AIが読める学校ホームページを無償で提供する「edumapプロジェクト」を開始すると、同研究所主催の「NetCommons ユーザカンファレンス 2019」で発表した。学校の基本情報や緊急情報をAIが自動的に判読できる環境を整えることで、災害時の避難状況の把握や、学校が発信する情報の多言語対応などが可能となり、学校間での不審者情報共有なども円滑になると期待される。

edumapプロジェクトの狙いを説明する新井センター長(新井センター長提供)

edumapは、同研究所が2005年に教育機関向けオープンソースソフトウエアとして提供を開始した「NetCommons」をベースとし、行事カレンダーやブログ、資料ダウンロードなどの機能を標準装備したクラウド型ホームページ運営サービス。ホームページに必要な情報を、パソコンで文書作成する感覚で簡単に編集できる。

この他にも、変更の決済を管理職が行える機能や、校務などに利用できるグループウェアを備え、スマートフォンとパソコンで共通の画面表示ができるなどの特徴がある。

20年1月からプロジェクトのホームページで参加校の申し込みを開始する。参加校には電話番号や所在地、避難所指定の有無、不審者情報などの提供を求める。

登壇した新井センター長は、東日本大震災では被災地で避難所となっている学校の情報が入らず、被害状況の把握が遅れたり、学校再開に向けた準備に混乱が生じたりしたことに触れ、「学校のホームページにある情報をAIが処理できる形式にしておけば、最適な支援がもっと早くできたはずだ」とプロジェクトの意義を説明した。

さらに災害対応以外のメリットとして、不審者情報やインフルエンザの流行など、地域のさまざまな教育機関で迅速な情報共有が可能になり、学校の安全を高めることにつながることや、「給食便り」など学校が発行する文書を機械翻訳することで、日本語を母語としない保護者にも情報が伝わりやすくなり、教員の負担軽減にもつながることを挙げた。

新井センター長は「職員室で特定のパソコンからしか更新できず、非常時に活用できない、機械翻訳にも対応していない。そんな学校ホームページを一体いつまで、しかも有償で維持するつもりなのか。edumapでお待ちしている」と教育関係者にプロジェクト参加を呼び掛けた。

同カンファレンスには教育関係者ら約150人が参加。edumapを先行導入している学校の事例発表や、操作体験会も実施された。