「いまやっていない授業をやろう」 英語4技能実践を強調

英語4技能の授業実践を討議する「第1回ESIBLA教育フォーラム」が8月31日、都内で開かれた。基調講演に立った吉田研作・上智大学特任教授は、新学習指導要領の英語が「単語や文法の知識をただ身に付けるだけではなく、その知識を使い、他者とのコミュニケーションができる能力を求めている」と説明。その上で、「単語を暗記したり文法を繰り返したりするだけでは、生徒はコミュニケーションができるようにはならない。『読む』『書く』『聞く』『話す』の4技能全てを活用した、総合的な指導が重要だ」と強調した。

基調講演する吉田研作・上智大学特任教授

吉田特任教授は、中学3年生を対象とした2019年全国学力・学習状況調査の英語の結果について、「聞く」「読む」ともに「一文ずつ正確に訳すのではなく、全体の概要や要点をとらえようとする授業を受けている生徒の正答率が高かった」と説明。

「書く」については、「語彙(ごい)や文法事項を理解して書く問題では正答率が高かったが、自分の意見を踏まえてまとまりのある文章を書く問題では正答率が1.9%しかなかった。文法ではなく、自分で論理的に考えて書く力が弱いことがはっきりした」と課題を指摘した。スピーキングテストが実施された「話す」では「即興で自分の考えや気持ちを伝える授業を受けている生徒の正答率が高いことがわかった」と述べた。

続いて、こうした調査結果を受け、「コミュニケーションを中心とした授業が大切だと、はっきり分かった。しかも、これらのポイントは新学習指導要領に書いてあることばかりだ」と総括。

今後の指導改善のポイントとして、「新学習指導要領に示された取り組みの着実な実施が、生徒たちの学力を伸ばすことにつながる。同時に、生徒の英語学習の意欲をどうやって高めていくかが問われている」との見解を示した。

また、中学校と高校での英語指導の現状について、ベネッセによる15年の実態調査の結果を示しながら、「80%の教員が実際にやっている授業は、音読、発音練習、文法の説明、文法の練習問題、教科書本文のリスニング、Q&Aによる教科書本文の内容理解、キーセンテンスの暗唱と運用だ。どれをみても、生徒がコミュニケーションしている姿が見えない。ほとんどの先生は生徒が受け身になる授業しかやってない」と厳しく指摘。

その上で、「これからやるべき授業は、いまやっていない部分にある。ディベート、ディスカッション、英語で教科書本文の要約をする、教科書以外の初見の英語を読む、英語の教科書本文を要約して話す、自分の考えや気持ちを英語で話す――。どれもやっていないことばかり。だが、ここにアクティブ・ラーニングがある。新学習指導要領には、こうした授業をやるように、と書いてある」と述べた。

生徒の学習意欲を高める授業実践についても、ベネッセによる別の実態調査データを根拠に、「『読む』『書く』『聞く』『話す』の全てを取り込んだ授業を受けている生徒は、積極的に授業に参加する傾向がはっきりと出ている。つまり、個別の技能をそれぞれ別々に教える先生ではなく、全ての技能を授業に取り込んで教える先生に習うと、生徒はやる気になる」と指摘。4技能全てを活用した総合的な授業づくりが生徒の学習意欲の向上につながると強調した。

ESIBLA教育フォーラムは英語4技能・探究学習推進協会が主催し、教育新聞社などが協力。中学校と高校の英語教師を中心に約200人が参加した。