高専のいじめ被害者が要望書 高専対象外は防止法の不備

山口県周防大島町にある国立大島商船高等専門学校で起きたいじめについて、学校側が事実誤認による不当な処分を行い、いじめへの対処を怠ったままであるとして、被害者の学生らが9月4日、文科省高等教育局専門教育課高等専門学校係に要望書を提出した。学校側はいじめ被害者の友人の学生を、いじめをしていないにもかかわらず長時間にわたり拘束し、威圧的な事情聴取を行っていた。いじめ防止対策推進法では、高専のいじめ防止対策は努力義務にとどまっており、代理人の弁護士は「現行法の不備だ」と指摘した。

高等専門学校のいじめ対応の問題を指摘する弁護士ら

同校は遠方から入学する学生が多いことや、規律ある共同生活を送ることなどを目的に、2年生までは原則として学生寮で生活することが義務付けられている。被害者らによると、いじめは被害者が入学した2016年4月ごろから始まり、5月に被害者と同室の学生が自死したことをきっかけにエスカレート。暴行を受けたり、被害者のコラージュ画像をSNSでばらまかれたりするなどの行為が繰り返され、追い詰められた被害者は17年12月に自殺未遂した。

さらに、学校側は被害者の意思を無視する形で、いじめ調査を開始。被害者の友人3人をいじめ加害者と事実誤認し、突然授業中に呼び出すなどして、長時間にわたる事情聴取が行われた。

複数の教員が学生を取り囲み「お前が少しでもうそをついたら、退学させることもできる」などの威圧的な言葉が浴びせられ、出席できなかった授業の補講が行われなかったり、一部の学生が恣意(しい)的に停学処分にされたりしたという。

学校側は第三者委員会を設置し、いじめ問題の調査を進めているが、校内で実施したいじめ調査のアンケートを紛失したり、加害者への処分が行われないままであったりすることなどから、被害者らは第三者委員会の再設置と十分な調査の実施、事実誤認に基づく学生の不当処分の撤回、加害学生に対する適切な処分などを要望した。

記者会見に臨んだ被害者の学生は「船乗りになる夢をかなえても、卒業後にいじめ加害者と仕事で関わりを持つ可能性がある。社会に出てもまたいじめられると思うと恐怖だ。無実の友人に対して威圧的な態度を取った教師らも信頼できない」と不安を口にした。

代理人の弁護士は「いじめ防止対策推進法第2条では、高専は対象に含まれておらず、高専のいじめ防止対策は第35条で努力義務として規定されているにすぎない。高専が含まれていないのは、現行法の不備ではないか」と指摘した。