日本の教員、給与水準下落 OECD局長「待遇改善を」

経済協力開発機構(OECD)は9月10日、世界各国の教育を巡るデータを比較した『図表でみる教育2019年版(Education at a Glance 2019)』を発表した。日本は教育機関に対する公的支出の対GDP比が、OECD加盟国の中で最も低かった。同時に、多くの国で学級の規模が縮小され、教員の給与水準が上がっている一方、日本では学級規模は横ばいで、教員の給与水準が下がっていることが分かった。

初等教育における教員の給与水準と学級規模の変化(2005年と17年の国際比較) 出所:Education at a Glance 2019

日本の教育機関に対する支出は16年、初等教育から高等教育までの合計でGDP比の4.0%を占めている。内訳は、政府や自治体など公的支出が2.9%、家計など私的支出は1.2%だった(四捨五入のため小数点以下の合計は合わない)。

公的支出の割合は、OECD加盟国の中で最低。公的支出の割合が高いのは、ノルウェー6.3%、フィンランド5.4%、ベルギーとアイスランドが5.3%、スウェーデン5.2%と続き、OECD加盟国の平均は4.0%だった。

また、公的支出と私的支出を合わせた教育機関に対する支出は、ノルウェー6.5%、ニュージーランド6.4%、チリ6.3%と続き、OECD加盟国の平均は5.0%だった。

日本の教育機関に対する支出は、公的支出だけでも、私的支出を合わせた全体でも、OECD加盟国の中でかなり低い水準と言える。

こうした教育機関に対する支出の実態を検証するために、OECDでは、初等教育における学級の規模と教員の給与水準を、05年と17年で比較した。それによると、日本は学級の規模には大きな変化がないものの、教員の給与水準は05年を100として、17年には約9ポイント下がっている。OECD加盟国の多くで教員の給与水準が上がる中、日本はギリシャ、英国に次いで下落率が高かった。

ビデオ経由で会見するアンドレアス・シュライヒャーOECD教育スキル局長

調査を取りまとめたアンドレアス・シュライヒャーOECD教育スキル局長は「日本の教育に対する公的支出は、過去も低いレベルだった。要因の1つは子供の数が減っていることだ。2つ目は、日本では私費負担が高いレベルにあることだ。幼児教育や保育では、親が費用の半分を負担しているなど、家計部門の負担が大きい。大学の教育においても日本の場合、親の負担が高くなっている」と分析。

「教育に対する日本の投資は効率的でもある。支出額がそれほど高くないにもかかわらず、その結果は良好だからだ。大きな学級で教えることで、資金を節約して効率的に投資されている側面がある」と、日本の長所を指摘した。

さらにその上で、「ただ、日本の教育がこのまま続くかどうかはわからない。持続可能性について懸念がある。教員の給与水準が下がれば、教員はそれほど魅力的な職業ではなくなってしまう。このままでは一番優秀な人材を教員に誘致することができるのか、という疑問が残る」と問題点を挙げ、「教育の質は教員の質にかかっている。この点を日本に忠告したい」と、教員の給与改善に取り組むよう促した。