【共通テスト】英語民間試験の活用延期 全高長が要望

大学入学共通テストにおける英語民間試験の活用について、受験生や高校現場の不安は依然解消されていないとして、全国高等学校長協会(全高長)は9月10日、英語民間試験の活用延期と制度の見直しを求める要望書を、文科省高等教育局の西田憲史大学振興課長に提出した。要望書では、地域格差などの問題が解決されないまま、2020年4月から民間試験の活用を開始することは「極めて重大な問題」と指摘。問題が解決するまでは、実施を見送るよう要請した。

文科省高等教育局の西田大学振興課長(左)に要望書を手渡す全高長の萩原会長(右手前から2人目)

全高長は7月25日にも文科省に要望書を提出し、民間試験の活用に対する高校現場の不安解消に向けて、試験実施団体や大学に対し、試験の実施日程や試験の活用方針などの情報を早期に公表するよう求めた。これを受け文科省では、8月27日に「大学入試英語ポータルサイト」を開設した。

今回提出された2度目となる要望書では、ポータルサイトに公表された情報は、高校側が一番知りたい試験の実施日程や会場についての情報が全ての団体で出そろっておらず、試験の活用方針が未定の大学も多いと指摘。不安解消にはほど遠い状況が露呈し、かえって受験生の不安を助長していると懸念を表明した。

また、全高長の大学入試対策委員会が全国470高校の校長を対象に7月に実施したアンケートでは、民間試験の実施に対する不安が「大いにある」と答えたのは78.9%、実施を「延期すべきである」と答えたのは69.1%に上った。

こうした状況を受け、全高長はこの問題への対応を協議するため、9月9日に臨時の都道府県協会長会議を開催。民間試験の活用延期と合わせ、制度の見直しを求めることが了承された。

要望書では①大学入試として実施される検定試験としての公正・公平の確保が依然として確保されていない②地域格差、経済格差をはじめとする諸課題が今後、短期間のうちに解決する見通しが立っていない③各試験実施団体が20年4月からの実施ありきで準備を進めており、その結果、新たな不安や負担が生じている④この状態で民間試験の活用が開始されれば、申し込みの段階から混乱が生じる⑤現在の高校3年生に対する十分な配慮がなされず、今後の指導に支障が出る⑥教育施策の実施に際して、格差を助長することがあってはならない――ことを挙げ、前の要望書で示した6つの不安項目を含め、これらの問題を解決しないまま、予定通り民間試験の活用を開始するのは重大な問題があるとした。

全高長会長の萩原聡東京都立西高校長は「ポータルサイトができたが、受験生が求めている情報は出ておらず、実施団体によって情報もばらばらで、結果的に受験生が巻き込まれてしまっている。こんな状況では、4月からの実施は困難だ。いったん立ち止まった上で、制度を見直してほしい」と強調した。

柴山昌彦文科相は9月10日の閣議後会見で、20年4月から民間試験の活用を予定通り実施する方針を改めて示した上で、「大学入試英語成績提供システムがないまま、各大学が民間試験をばらばらに用いれば、対象とする試験の受験を高校3年生の2回までとすることや、経済的に困難な受験生への検定料の配慮、原則全都道府県での実施など、参加要件として求めている事柄についても、実施団体で自由に判断できることになってしまう。かえって受験生の地域格差や経済格差が拡大し、大きな混乱を招くことになる」と述べた。


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