「公共」での主権者教育 中高連携、高大接続の視点重要

文科省の主権者教育推進会議は9月17日、第8回会合を開いた。公民科やシチズンシップ教育における主権者教育の在り方について、研究者が発表。高校新学習指導要領で必履修科目として新設される「公共」や18歳選挙権を踏まえ、中学校との連携や高大接続改革の視点から主権者教育を位置付けることの重要性を挙げた。

公民科やシチズンシップ教育における、主権者教育の在り方を議論する推進会議

会合では、日本公民教育学会会長の栗原久東洋大学教授が高校公民科における主権者教育の在り方を、同会議委員の小玉重夫東京大学教授がシチズンシップ教育の観点からみた主権者教育の課題を、それぞれ発表。

栗原教授は主権者教育の重要性が叫ばれるようになった昨今の状況について、「若干の違和感がある」と表明。

「そもそも社会科教育は戦後70年以上、社会認識を深め、公民的資質を育成することを狙いとしてきた。主権者教育もこれまでの社会科や公民科で取り組んできたと言える。一方で、社会科の授業は教科書の解説が中心で、教室の中で完結してきた点も否めない。社会参画や投票行動につなげるまでの実践に行き着いていなかったという反省もある」と話した。

その上で、3年生の2学期以降に扱うことが多い中学校社会科の公民的分野と、高校1年生の必履修科目として設置される可能性が高い「公共」との連携や内容のすみ分けを課題に挙げた。

小玉教授は、政治教育について規定した教育基本法第14条2項で、学校の政治的中立性の確保がうたわれていることが強調されすぎたために、政治的教養を教育上尊重すべきであるという同条1項の趣旨を、学校現場が見失っていると指摘。

英国やドイツにおけるシチズンシップ教育政策に触れながら、政治上の争点となっている事柄も授業の中で取り上げていく必要があるとの認識を示した。

また、18~19歳の投票率が低下しているとの指摘を取り上げ、「18歳の政治参加意識が低いとみるべきではなく、大学に入学してからの問題として考えるべき。大学受験では、公民科より地理歴史科の科目を選択しがちだ。高大接続改革でその考え方を変えるとともに、18歳までの主権者教育の中で、政治そのものを探究する学習が重要になるのではないか」と、高大接続改革の中に主権者教育を位置付ける必要性を提案した。

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