【未来の先生展】西郷校長と日野校長 特別支援テーマに対談

公立校でありながら校則や定期試験を廃止し、子供中心主義のインクルーシブな教育を展開することで注目されている東京都世田谷区立桜丘中学校の西郷孝彦校長と、発達障害がある生徒を積極的に受け入れている明蓬館高校の日野公三校長の対談「特別支援教育の実践における校長の役割」が、教育イベント「未来の先生展2019」2日目の9月15日に行われた。

子供中心主義の本質を語る西郷校長

桜丘中学校では、今年度から定期テストを廃止し、小テストを5回に分けて実施する「ミルフィーユテスト」を導入した。

西郷校長はその意図を「テストのための準備が難しい子供や、能力は高いのにたまたまテストのときに体調が悪い子供もいる。既存の一発勝負のテストは、そんな生徒たちの本当の学力を測っていることにはならない」と説明。

他にも、不登校だった生徒が廊下で学習する様子や、多様でユニークな放課後活動など、数々の同校の取り組みを紹介した。

西郷校長は同校が実践するインクルーシブ教育について、「分かりやすい言葉で再定義するならば、全ての子供たちが3年間を楽しく過ごすことだ。インクルーシブ教育を実践する上では、個々の子供の違いを吸収するOSのようなものが必要。そのOSはそれぞれの学校によって違うが、共通しているのは、多様性の受容・尊重、愛情をもって生徒に接する、一人一人を大切にする、子供とともに『生きる』、そして子供中心主義。子供をよく観察することで、課題へのヒントが見つかる」と語った。

内閣府の構造改革特区制度を活用し、株式会社立の広域通信制高校として設立された明蓬館高校では、発達障害のある生徒のニーズに沿った支援を実現するために、全国各地に「SNEC(Special Needs Education Center)」を開設。それぞれが自分に適した方法で学習を進められる環境を構築している。

また、教員以外にも相談員や支援員を充実させ、役割分担を明確にしながら、職員室での情報共有や早期対応ができるようにしている。

高校における特別支援の必要性を強調する日野校長

日野校長は「進学率の高さを踏まえれば、高校も義務教育と同じと考えるべきだが、個別の教育支援計画の策定など、小中学校と比べて特別支援教育への対応が著しく遅れている。教育課程の自由度が高く、全日制と比べ発達障害の可能性がある生徒が多く通っている通信制高校でも、対応は十分とは言えない」と指摘。

その上で、「校長だから意思決定できる。学校長が大きな意思決定をしなければいけない時代だ。特に特別支援への対応では、リーダーシップを発揮し、学校としての指針を作り、全体を巻き込みながら、説明責任を果たすことが重要。学校がキーステーションとなり、福祉や医療、地域、企業と連携し、生徒の自立に向けた取り組みを進めていくべきだ」と強調した。


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