「普通科改革の本丸は授業改革」 中教審WGで事例報告

高校改革について集中的に議論する、中教審の「新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ」(高校改革WG)の第3回会合が9月24日、東京・霞ヶ関で開かれ、福井県立若狭高校の中森一郎校長が同校の取り組む普通科改革について報告した。中森校長は「授業を変えないで生徒を変えることはできない。普通科改革の本丸は授業改革にある」と述べ、地域住民など外部人材と積極的に連携した探究授業の成果や、課題を説明した。

普通科改革の事例報告を受けた中教審高校改革WG

若狭高校は、旧小浜藩の藩校を母体とした創立122年目の県立高校。全日制4学科と定時制普通科を持つ総合高校で、生徒数は約900人。中森校長は「地域の中学生のうち3分の2が入学する平均的な公立高校だ」と紹介した。

1949年に制定された教育目標では、「異質のものに対する理解と寛容の精神を養い、教養豊かな社会人の育成を目指す」としている。この目標にある教養の意味合いについて、中森校長は「STEAM教育のA(Arts)をイメージしている」と説明。目標実現に向けた課題として「普通科の特色づくり」と「開かれた学校づくり」を挙げた。

その上で、「学習指導要領にのっとって『教科の本質』を意識し、『目の前の生徒の状況』に応じて『生きて働く学力』を育む授業を行う。この授業改革こそが普通科改革の本丸だ」と述べ、国語科の定期考査を例に授業改革の内容を説明した。

中森校長によると、国語科の定期考査では、授業で扱った教材は取り上げない。初めて見る文章を読み、指定された条件に基づいて自分の意見を文章で記述する、というパフォーマンス評価を行っている。「授業で扱った教材を生徒に暗記させて評価することはない。評価を変えることが授業改革であり、普通科改革の基本だ」と話した。

しかしながら、一人の教員が生徒一人一人に応じて目標や教材、評価を柔軟にデザインすることは難しいので、学校全体で組織的に授業力の向上に取り組んでいるという。

また、探究授業を中心に、地域住民ら外部人材を学校に招いて生徒にプレゼンテーションをさせたり、課題研究のカリキュラムに巻き込んだりする、開かれた学校づくりの重要性を強調。地元自治体の協力を受けて、生徒が地域の課題を発見し、解決に取り組む課題解決型学習を説明した。

中森校長は「地域との連携を深めることが、生徒のより豊かで深い学びにつながる。探究の授業では、学校の教員だけで生徒を教えることはできない。むしろ教員は生徒と一緒に地域の課題を学ぶ姿勢が大切だ」と述べた。

最後に、AO入試や推薦入試を利用した今年春の大学入試で、国際探究科の生徒が国公立合格率100%を果たし、各科で難関大学を含めて多数の合格者を出したと説明。中森校長は「授業改革に取り組んで5年がたち、ようやく結果が伴ってきた」と総括した。

委員からは「PDCAサイクルが非常にうまく回っている印象だ」「『難しいからやらない』のではなく、『難しいけどやっていく』という姿勢がある」と評価する声が相次いだ。

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