外国人児童生徒の日本語習得にも デイジー教科書の効果報告

外国人児童生徒が教科書で学習する際の課題について協議している文科省の検討会議は10月2日、第2回会合を省内で開いた。障害児向けの音声教材である「デイジー教科書」が、外国人児童生徒の日本語の習得にも効果があることが、委員から報告された。

デイジー教科書は視覚障害や発達障害、識字障害などのある児童生徒の使用を想定し、教科書の文章を音声で読み上げる教材。2008年に施行された教科用特定図書普及促進法(教科書バリアフリー法)に基づき、日本障害者リハビリテーション協会(リハ協)を中心に国内のボランティア団体と協力して提供している。

委員の井阪幸恵・大阪府和泉市立国府小学校教諭は、日本語指導の必要な外国人児童に対して、実際にデイジー教科書を使用した実践から、その効果を説明した。

4月の時点ではひらがなを覚えられず、「読み」に困難を抱えていた児童が、デイジー教科書を継続的に使用することで、12月までには一人でも文章を読めるようになったという。

井阪教諭は「デイジー教科書はできる限り毎日利用できるようにするのが望ましい。小学校での実践を中学校以降に引き継いでいくことが課題だ。高校入試でも、ルビを振るなどの配慮ですらも十分であるとは言えず、音声読み上げを認めてもらうハードルは高い」と指摘した。

小澤亘・立命館大学教授は、外国人児童生徒が教科書の文章を読む際の困難度を分析。日本語の習得が不十分な外国人児童が教科書の文章を読んだときの視線追尾検査を実施した結果、こうした外国人児童が抱える「読み」の困難度は、「読み」に困難のある日本人児童と同等であることが分かった。

また、2018年度にリハ協がデイジー教科書を使用した教員らを対象に実施したアンケートに寄せられた自由記述を分析したところ、外国人児童生徒では「読み」の流ちょうさや読める漢字の増加に効果がみられた。

小澤教授は「デイジー教科書は効果があるが、教科内容の理解は限定的で、自尊心や学習意欲の育むには課題がある」と述べた。

報告を受け、委員からは「デイジー教科書を使用する際は、教員だけでなく同じクラスで学ぶ児童生徒に対しても、実物を触れてもらうなどして、理解を得ることが重要だ」「障害のある児童生徒だけでなく、外国人児童生徒にも教科書へのアクセスを確保しなければならない。こうした教材を作成する上での、著作権法上の問題を検討する必要がある」「易しい日本語に変換したり、母語に翻訳したりする機能を備えたデジタル教科書の可能性も議論していくべきだ」などの意見が出た。

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