小学校教科担任制・ICT整備 「論点そろった」中教審

中教審初等中等教育分科会が10月4日、文科省内で開かれ、今年4月に当時の柴山昌彦文科相から受けた諮問「新しい時代の初等中等教育の在り方について」のうち、「ICT環境や先端技術の効果的な活用」と「小学校における教科担任制の在り方」の2項目について、論点整理をまとめた。学校のICT環境には致命的な遅延があるとして抜本的な改善を求め、小学校の教科担任制については小学校高学年での本格的導入の検討を促した。

論点整理を行った中教審初等中等教育分科会

論点整理では、新しい時代を見据えた教育が育成を目指すべき資質・能力として「自立した人間として、主体的に判断し、多様な人々と協働しながら新たな価値を創造する人材」と「変化を前向きに受け止め、豊かな創造性を備え持続可能な社会の創り手として、予測不可能な未来社会を自立的に生き、社会の形成に参画するための資質・能力」と整理。

その上で、子供の学びとして「多様な子供たちを誰一人取り残すことのない、個別最適化された学び」を実現し、子供の学びを支える環境では「全国津々浦々の学校において質の高い教育活動を実施可能とする環境」の整備を目標に掲げた。

その目標達成に向けた検討項目として、初等中等教育分科会では、ICT・先端技術の活用と、小学校の教科担任制の2項目を優先的に審議してきた。

ICT環境や先端技術の効果的な活用を巡る論点整理には、▽すべての子供の力を最大限に引き出すものとして機能していくため、個別学習計画の活用や、学習者自身による学びの振り返りが効果的▽目指す学校のグランドデザインや学習環境を見据え、これまでの取り組みとの融合や複合を意識しながら進める▽義務教育段階では、児童生徒同士、児童生徒と教師が顔を合わせ学級で共に学ぶ意義を再確認する▽AI技術を活用したドリルなど先端技術の活用で、知識の定着に関わる授業時間を短縮できる場合、学年を超えた学びについて検討する▽教師の在り方や果たすべき役割、教員養成・免許・採用・研修・勤務環境・人事計画などや多様な外部人材の活用について検討する▽ICT 環境や先端技術の活用状況の差による教育格差がないよう具体的な支援策など、国の取り組みを早急に進める――ことが挙げられた。

小学校の教科担任制を巡る論点整理では、▽小学校高学年からの教科担任制の本格的導入を検討すべきだが、その際には各学校の実情を踏まえ、柔軟な教科担任制が実施できる在り方が必要▽教職員定数の改善と配置の工夫、教科指導の専門性を高める教員養成・研修の仕組みの構築、義務教育9年間を見通した免許制度の検討が必要▽小学校間の連携や小中学校の連携を検討すべきで、その際は小規模校においても教科担任制が実施可能となる仕組みの構築が必要▽小学校から中学校への円滑な接続が効果を発揮する方策を考える▽CBTなどの活用で、児童の基礎的・基本的な知識・技能の習得状況を把握することが必要――との項目が挙がった。

分科会会長代理の天笠茂千葉大特任教授は、小学校の教科担任制を巡る論点整理について「論点はほぼ出そろった、と捉えたい。これは、小学校高学年に限定した内容ではない。中学校と小学校の在り方を見渡し、義務教育の9年間を通した教科担任制の在り方を検討する必要性がはっきりしてきた。小学校高学年の学級担任制は、従来の小学校でも中学校でもない、第3のタイプの学校を模索する議論になっていくだろう」と、今後の審議の方向性を示唆した。

同じく分科会会長代理の加治佐哲也兵庫教育大学長は、ICT環境や先端技術の活用を巡る論点整理について、「技術によって目指している公正で個別最適化された学びが実現されたら、今の学校の常識が通用しなくなる可能性がある。進度の速い子供は無理なく飛び級ができるようになるので、基本的に同じ学年の子供が同質集団を形成している今の学校は成り立たなくなるかもしれない。通信制が発達すれば、不登校問題も含めて、子供たちが学校に毎日通うという常識もなくなるかもしれない。学校について自明と考えていることがなくなっていく可能性も視野に入れて、今後の審議を進めていくべきだ」と注意を喚起した。

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