教育関係23団体が全国集会 定数改善求めるアピール採択

日本PTA全国協議会、全国連合小学校長会(全連小)など教育関係23団体から成る「子どもたちの豊かな育ちと学びを支援する教育関係団体連絡会」は10月9日、東京都千代田区の参議院議員会館で全国集会を開き、教職員定数の改善や学校のICT環境整備の推進を求めるアピールを採択した。同連絡会では今後、アピールを基に関係省庁に働きかけを展開していく方針。

教育関係23団体による全国集会で学校の働き方改革の推進を強調する萩生田文科相

全国集会には教育関係者ら約200人、国会議員約100人が出席。開会中の臨時国会で提出される給特法改正案を含め、学校の働き方改革の推進や教職員定数の大幅な改善、文科省が来年度予算案の概算要求に盛り込んだGIGAスクールネットワーク事業をはじめとする、学習者用コンピューターの1人1台環境の実現や、高速通信インフラの整備などを要望していく方針で一致した。

日本PTA全国協議会の佐藤秀行会長は「教員の働き方改革を今やらなければいつやるのか。このままでは将来、学校の先生がいなくなってしまうのではないかという危機感がある。いくらタブレットを配っても、教室のWi-Fi環境が不十分で使えないという話を聞いた。学校にも通信の高速道路を作ってほしい。1日も早くそうした環境を日本全国の学校で整備してほしい」と訴えた。

アピールを読み上げる全連小会長の喜名朝博・東京都江東区立明治小学校校長

出席した萩生田光一文科相は「来年度から新学習指導要領が全面実施となる。子供たち一人一人にきめ細かな教育を実現するためには、教師の長時間勤務の要因を見直すとともに、学校の指導運営体制の改善、充実を図っていくことが重要だ。チーム学校を推進し、教師の資質能力の向上、計画的な教職員定数の改善、専門人材の配置拡充を一体的に推進していく。教師という職業は子供たちと向き合い、その人生観を変えることがあるくらい尊い仕事であり、それが先生方のプライドであるからこそ、教員人材確保法を踏まえたしっかりとした処遇を前提に働き方改革を進め、教師という職業の魅力を高めるための環境整備を進めていく。また、学校のICT環境を改善し、より一層の質の高い教育活動を実現できる環境整備を進めていく」とあいさつした。

採択したアピールは次の通り。

子供たち一人一人に対するきめ細かな教育の実現と学校における働き方改革のための指導・運営体制の構築等を求めるアピール次代を担う子供たちの健やかな成長は、すべての大人たちの願いであり、子供たちが全国どこに生まれ、どんな家庭環境で育ったとしても、等しく良質な学校教育を受けられるようにすることは、私たち大人、そして国の責務です。高い水準の豊かな教育を実現するためには「教職員の資質の向上と数の充実」が不可欠です。とりわけ、近年、学校や子供たちを取り巻く状況は、ますます複雑化、多様化、困難化しており、学校における働き方改革は急務となっています。こうした状況に対処するためには、新学習指導要領の実施を見据え、教職員の指導・運営体制の充実を強く推進するとともに、教員以外の人材の活用と業務改善の取組を一体的に推進し、チーム学校が機能する体制を整備していくことが非常に有効な手段であると考えます。

今必要なのは、日本の未来を担う子供たちの力をきめ細かな指導によって育てるための持続可能な学校の指導・運営体制の構築と、そのための教育投資です。

加えて、小・中学校のみならず、高等学校、特別支援学校等のあらゆる学校の教育環境の改善を実現し、より一層の良質な教育を子供たちに約束することが、私たち教育に携わる者の責務であります。

以上のことを踏まえ、私たちは日本のすべての人々に、次の事項の実現を強くアピールします。

一、子供たち一人一人に向き合ったきめ細かな教育の実現及び新学習指導要領の円滑な実施に向けた対応として、小学校における専科指導の充実、中学校における生徒指導や支援体制の強化、貧困等に起因する学力課題の解消など計画的な教職員定数の改善を進めるとともに、令和二年度予算においては、これらに必要な人的措置・財政措置を確実に行うこと。

一、教育現場が抱える様々な課題への対応や教員の負担軽減による教育の質の向上を図るため、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置促進やSNS等を活用した相談事業を推進するとともに、スクール・サポート・スタッフや部活動指導員の配置促進を進めること。また、東日本大震災をはじめとする地震や豪雨などの自然災害により被災した児童生徒のための教職員やスクールカウンセラーによる支援を今後も継続的に行うこと。

一、学校のICT環境を改善し、より一層の質の高い教育活動を実現するため、一人一台の学習者用コンピュータ及び学校における高速かつ大容量の通信ネットワークの整備を進めること。

一、意欲と情熱をもって教育に取り組む優れた教職員を確保するため、人材確保法の趣旨をふまえた措置とともに、教育の機会均等とその水準の維持向上を図るため、その根幹となる義務教育費国庫負担制度を堅持すること。また、地方財政を圧迫し、人材確保に支障を生じたり、地域間格差が生じたりすることのないよう、義務教育費国庫負担金及び地方交付税の財源確保を行うこと。

一、教育投資は未来の日本への先行投資であり、国の最重要事項であることから、右に掲げる諸方策の実現にあたっては、既存の教育予算の削減や付け替え等によるのではなく、計画的・安定的な財源確保を行うこと。

令和元(二〇一九)年十月九日

子どもたちの豊かな育ちと学びを支援する教育関係団体連絡会

日本PTA全国協議会 日本教育会 全国市町村教育委員会連合会 全国都市教育長協議会 中核市教育長会 全国町村教育長会 全国連合小学校長会 全日本中学校長会 全国公立小・中学校女性校長会 全国特別支援学校長会 全国連合退職校長会 全国高等学校長協会 全国公立学校教頭会 全国特別支援教育推進連盟 全国へき地教育研究連盟 日本連合教育会 全国養護教諭連絡協議会 全国公立小中学校事務職員研究会 全国学校栄養士協議会 日本教職員組合 全日本教職員連盟 日本高等学校教職員組合 全国教育管理職員団体協議会

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