特支学校に「障害者の教員増やそう」 有識者会議で提案

障害者を特別支援学校の教員に――。10月16日に開かれた文科省の「新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議」の第2回会合で、障害のある委員から強い声が上がった。障害のある児童生徒が学ぶ特別支援学校で当事者である障害者が教壇に立つことで、ロールモデルを示すことができるとの指摘だ。同省も障害者の教員採用を進めたい考えだが、思うように進んでいない実情がある。

提案したのは、自身も脳性まひで電動車いすを使って移動している小児科医の熊谷晋一郎・東京大学准教授。熊谷准教授は「障害を持った先生を増やした方がいいと思っている。医療や福祉の分野でもそうだが、今、当事者の力が非常に注目されている。当事者以外の人では気付かない視点を得られる。自立という概念を考えてみてもロールモデルの存在は欠かせない。点字や手話のように、カルチャーとして教育現場の中に障害のある人にとって必要不可欠な文化的な資源を根付かせる必要がある。そういう意味で教育を提供する側のインクルージョンを考えなければならない」と述べた。

さらに熊谷准教授は、学校に障害のある教員を複数配置する重要性も指摘。その理由について「人数が大事だと海外の研究では言われている。一人きりで現場に入ると、頑張りすぎて燃え尽きてしまったり、下手をすれば健常者以上に健常者的価値観を持ってしまったりすることも懸念される。組織のカルチャーを変えるくらいの規模で障害のある人が教育現場に入る必要がある」と説明した。

この意見に対し、有識者会議の座長を務める全国特別支援教育推進連盟理事長の宮﨑英憲・東洋大学名誉教授は「大学で学んでいる障害のある当事者は約2万人強と言われているが、この中で教職課程を取ろうとしている人は極めて少ない。人数を確保するためにも、この問題をどう突破するか、教員養成関係者は考えてもらいたい」と応じた。

文科省は今年4月に発表した「障害者活躍推進プラン」で、障害に対する理解を深め、障害のある児童生徒にとってのロールモデルとなるなどの教育的効果が期待できるとして、障害者の教員採用を促進することを掲げている。2018年6月時点で都道府県教育委員会の障害者の実雇用率は1.90%で、法定雇用率(2.4%)を達成している割合は43.3%にとどまっている。また、17年度に大学などで教員免許状を取得した障害者は168人で、18年度に教員採用試験で教員として採用されたのは51人にすぎないなど、課題は多い。


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