学校施設の寿命120年も リファイニング建築でセミナー

老朽化が進む学校施設の長寿命化や防災対策を促進する目的で、文科省は10月17日、「未来につながる学校づくりセミナー」を省内で開いた。公共施設の大規模改修手法としてのリファイニング建築に関する講演や、自治体による学校の避難所開設の好事例などの発表があった。

リファイニング建築のメリットを説明する青木氏

公立学校はベビーブームに対応した昭和40年代に建設された施設が多く、施設の老朽化や耐震化が課題となっている。文科省では、自治体の厳しい財政事情などを踏まえ、建て替えるのではなく、既存の建物を大規模改修し、耐震化や防災対策を施して長寿命化を推進しているが、学校施設の長寿命化計画の策定率は15%程度で、他の公共施設と比べて遅れている。

特別講演では、リファイニング建築の第一人者である建築家の青木茂氏が登壇し、自身が手がけた公共施設のリファイニング建築の事例を紹介した。

リファイニング建築とは、リフォームやリノベーションと異なり、軽量化や補強によって建物の耐震性を高めつつ、内装や外観を含めた設備を一新することで、建て替えよりもコストを抑えつつ、新築と同等のクオリティーを得られる手法。青木氏はこれまで、福岡県八女市立福島中学校の体育館や廃校となった小学校の体育館を活用した大分県佐伯市の「蒲江海の資料館『時間の船』」など、学校施設の改修にも多く携わっている。

青木氏は「30~40年ごとにリファイニングをすれば、120年は持つ長寿命建築が可能となる。ただし、そのためには建物に関する資料をきちんと管理しておく必要がある。行政はその意識が低いと感じる」と指摘した。

防災対策では、前橋市による市立小中学校の防災機能強化策について報告があった。内陸型地震による被害が想定される前橋市では、全ての市立小中学校で、最大700人程度の避難者を受け入れることを可能とする防災施設の整備に取り組んでおり、防災倉庫の設置や災害時には無料で開放する学校専用Wi-Fiの整備を全校で完了。校舎の改築・改修に合わせて太陽光発電やマンホールトイレの設置も進めている。

また、前橋市では、市が中心となって避難所を開設する際のマニュアルを整備。さらに、地域住民と教職員が参画し、避難所が開設された場合の学校施設の利用計画などを定めた「避難所配置図」を学校ごとに整備したり、学校を拠点にした地域の自主防災活動や防災教育、市の担当職員による実践訓練を実施したりすることで、ハードとソフトの両面から防災機能の強化を図っている。

発表した前橋市防災危機管理課の髙橋雅彦危機管理係副主幹は、台風19号によって実際に一部の学校に避難所を開設したときの様子を振り返り「避難所配置図を作ってから初めての避難所開設だったが、配置図に基づいて受付の開設やさまざまな人に配慮したスペースの設置などがスムーズに行われた。配置図の作成を通じて、地域住民と学校の教職員が災害時に学校施設を避難所としてどのように使い、学校の教育活動や避難所運営でどういった協力をすればいいのか、共通認識が築けたことが大きい」と述べた。

セミナーには教育・行政関係者ら約200人が参加した。