流山市いじめ重大事態調査 調査会前会長「法令順守を」

いじめの重大事態の調査を巡り、藤川大祐・千葉大学教授は10月21日、文科省で記者会見を開き、千葉県流山市教育委員会が「市条例に基づかない対応をしていた」と明らかにした。藤川教授は同市のいじめ対策調査会の前会長で、中間報告を市教委に提出後に退任。その後、「中間報告に基づく再発防止策などが行われていない」として、経過の公表に踏み切った。市教委は一部に条例に基づかない対応があったと認める一方、調査会との間で誤解があったと説明している。

記者会見で流山市教委の対応を批判する藤川教授

藤川教授によると、問題となったいじめの重大事態では、被害者は少なくとも2014年頃から小学校で他の児童による暴力を受け、中学校入学後も部活動で仲間外れにされるなどして不登校状態となった。

この重大事態について、市の条例で教委の常設機関として設置されている「いじめ対策調査会」に報告があったのは2017年3月。条例に基づけば、市教委から調査会にいじめ調査が付託された上で、調査が開始されるはずだったが、あらかじめ選任されるべき会長が長期にわたり決まらないなど、調査会は調査を始められる状況になかった。

その後、被害者側から調査の進ちょく状況について確認があり、調査が手つかずの状態であることが発覚。調査会は同年8月に再度臨時会を開き、会長に藤川教授を選任した上で調査を開始した。さらに、その過程で、条例で市教委がいじめの重大事態を調査する場合は調査会に付託しなければならないとされていたにもかかわらず、調査会に付託する前に市教委が関係者への聞き取り調査をしていたことなどが判明。一連の市教委の対応に不信感を抱いた藤川教授は、重大事態の中間報告を市教委に提出した直後に調査会の委員を退任した。

会見で藤川教授は「教育委員会や学校は法令に基づいて動く組織文化がなく、場当たり的な対応となってしまっている。流山市には、いじめ問題の対応体制を見直し、法令を順守して被害者に寄り添った対応や中間報告で示した再発防止策の早期実施を求めたい」と述べた。

流山市教委の担当者は取材に対し、会長を選出していなかったことや調査会に付託をせずに関係者に聞き取りを行ったことを認めた上で、「いじめの重大事態を報告した17年3月の臨時会で調査を依頼したつもりでいた。調査会の委員と市教委の間に誤解があった」と説明。「被害者への学習支援などはやっており、対応を放置していたわけではない。しかし、反省すべき点は多々ある。調査会の指摘を真摯(しんし)に受け止め、再発防止やいじめの早期発見・対応に取り組みたい」と話した。


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