こども宅食全国サミットを初開催 事例や課題で意見交換

経済的に厳しい子育て世帯などに食品を無償で提供し、必要な支援につなげる「こども宅食」を支援する「こども宅食応援団」は10月23日、都内で第1回全国こども宅食サミットを開催し、全国のこども宅食の事例発表などが行われた。パネルディスカッションでは、こども宅食やフードバンクをはじめとする日本の食糧支援活動の課題や福祉分野におけるデータ活用の可能性などを巡り意見交換が行われた。

日本の食糧支援活動の課題を話し合ったパネルディスカッション

こども宅食は2017年に東京都文京区でスタート。企業から提供を受けた食品を経済的に厳しい家庭に定期的に届けるとともに、家庭が抱えている課題を把握し、適切な支援につなげる狙いがある。

パネルディスカッションでは、こども宅食に協力する企業や食品ロス、フードバンクに取り組む関係者が登壇。全国フードバンク推進協議会の米山広明事務局長は、フードバンクの活動団体が今年9月には全国で100団体に到達したものの、食品の取扱量はあまり増えていない状況を示し「活動団体は人手不足で、食品を冷蔵したり冷凍したりする施設や配送する専用の車がないなど、インフラが整っていない」と指摘。買い物弱者向けに買い物の配送事業を行っているココネットの河合秀治代表は「食品仕分けや配送の手間コストなど、フードバンクを進める上で物流の面の課題が多くある。地域にある店舗ではなく、企業単位で解決策を考えていく必要がある」と話した。

また、福祉のデータ活用をテーマにした別のパネルディスカッションでは、AI(人工知能)を活用して児童相談所での虐待ケースを分析するアプリを開発した産業技術総合研究所の髙岡昴太氏が登壇。髙岡氏は「虐待対応では対応件数に対する担当者の人手不足が深刻だ。省力化して、本当に危険な状況にある子供を把握するシステムが必要だ。福祉分野ではいろんな機関が連携する以上、専門性の違いや温度差がある。問題を共有するためにデータを活用することが有益だ」と話した。

文京区でこども宅食に取り組むフローレンスの今井峻介氏は、同区でこども宅食を利用する家庭に実施したアンケートの結果を示した上で、ステークホルダーとの合意形成や協働にデータが不可欠であると強調。今井氏は「こども宅食は成果が見えにくいという課題がある。実際に困っている人がいることをデータで証明するために、しっかりと調査を設計する必要がある」と指摘した。

サミットには、こども宅食に取り組む福祉団体や行政関係者ら、約130人が参加した。


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