インターハイ寄付金、目標に達せず 高体連事務局長に聞く

2020年夏の全国高等学校総合体育大会(インターハイ)が東京五輪の影響で中止の危機に直面している問題で、全国高等学校体育連盟(高体連)が開催費用確保のためにインターネット上で寄付金を募ったクラウドファンディングが10月23日午後11時、締め切りを迎えた。結果は目標額の4000万円に対し、900万円超にとどまった。高体連は「2020年のインターハイは、1競技も中止せずに開催する」との姿勢を堅持しているが、さらなる費用集めや経費削減を迫られるなど危機的状況が続くことに変わりはない。

苦しい胸の内を明かす西塚事務局長

一夜明けた24日、高体連の西塚春義事務局長は教育新聞のインタビューに応じ、クラウドファンディングに乗り出した狙いや、2020年インターハイを巡る現状と見通しを明らかにした。

《経費をぎりぎりに圧縮》
――クラウドファンディングの終了から一夜明けたが今の心境は。

目標額のおよそ25%弱にとどまり、もう少し集まるかと思っていたので残念だ。ただ多くの方にご協力、ご寄付をいただき感謝している。

今後の手だてとしては、何かしらの方法で不足している金額を補塡(ほてん)しなければならない。各競技の開催経費をぎりぎりに圧縮して算出しているが、それをさらに削減することも必要だ。

全体のクラウドファンディングは昨日で終了したが、今後は競技ごとに寄付を募るクラウドファンディングの実施も検討している。

――これまでの経緯について改めて説明を。

インターハイの開催地区は毎年ローテーションになっており、現段階で2028年大会まで決まっている。また通常であれば開催経費の7~8割を開催地域の自治体が、残りを高体連が負担する仕組みだ。

そのルール通りいくと、20年の開催地区は北関東だった。

実は、東京都が五輪の開催候補地として手を挙げた2011年に、北関東から開催年度を変更してほしいという依頼があった。インターハイの開催スケジュールが五輪の期間と重なり、選手や監督、役員ら20万泊分の宿泊施設の確保が極めて困難だからだ。ただ、その時点では東京都が五輪の開催地として決定していなかったので、具体的な手だては打てなかった。

翌12年に東京都が五輪の開催地として正式に決定した。われわれ高体連は21、22、23年の開催予定地域に開催年度の変更を依頼したが、いずれも難しいという回答が返ってきた。そこで北関東に再度依頼したところ、30競技中11競技を開催してもらえることになった。

残りの19競技は全国で分散して開催することにしたが、なかなか受け入れてくれる地域が見つからず、やっと今年4月にすべての競技の開催地が決まった。

ただ急きょ全国で分散して開催することが決まったので、各自治体に開催経費を通常通り負担してもらうのは難しい。開催経費の不足が深刻な問題となっている。

《1競技も中止せずに開催する》
――クラウドファンディングの実施以前に何かしら手だてを打たなかったのか。

このような事態を見越して、16年に「特別基金」を立ち上げ、寄付を募っている。目標額は7億円だ。これは過去の大会のデータを踏まえ、自治体に負担してもらう開催経費の平均金額を算出したものだ。

こちらは10月15日時点で5287万1184円の寄付をいただいているが、到底足りない。当初考えていたよりも20年インターハイの危機的状況について、広く周知することができなかった点が甘かったと感じる。

いよいよ開催を来年に控え、最低眼必要な経費を改めて算出し、特別基金を上乗せしても不足する4000万円をクラウドファンディングで募ることにした。本当に圧縮に圧縮を重ねた金額だ。

特別基金はどうしても関係者にしか発信できないが、クラウドファンディングはSNSによる拡散力もあり、一般の人々も巻き込んで広く募集できると考えた。

《中止は生徒の進路に影響も》
――「中止の危機」などと言われているが、開催できるのか。

われわれとしては、2020年のインターハイは1競技も中止せずに開催するというのが当初からの方針だ。それに変わりはない。

インターハイに出場できるのは高校生全体の2~3%ほどと言われている。スポーツに励む高校生にとって憧れであり、夢の舞台だ。特に2020年を高校3年生として迎える、今の高校2年生にとっては思い入れも強いだろう。

1競技でも中止になると、その年の日本一の高校生を決める大会がなくなってしまう。場合によっては、生徒の進路にも大きく影響する問題だ。

実は、インターハイを目指す高校生や顧問の先生方の相当数が、この危機的状況を知らない現状がある。高体連に登録している生徒は120万人ほどに上る。各学校の部にもアナウンスしてきたが、予想以上に反響が薄いので、この危機感が伝わっていないと危惧する部分がある。

《多くの人に危機的状況を知ってほしい》
――今回の一件は、インターハイの運営方法や在り方を見直すきっかけになったか。

2020年は緊急例外的な位置づけで、前例にしないようお願いしている。20年はイレギュラーで、経費を限界まで圧縮して開催することになるが、「毎年この金額でできるのではないか」と言われると、つらいものがある。

ただ例年、開催地の自治体から経費の削減について指摘がある。これまでももちろん経費削減に取り組んできたが、今一度、開催にあたり必要な経費なのか否かを一から見直し、予算組みしていく必要性を痛感している。

――学校現場へのメッセージは

来年のインターハイは、1競技も中止せずに開催できるよう全力を尽くしている。

この状況を学校現場の多くの人に知ってもらい、可能であればご支援、ご協力していただきたい。


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