広島でワールドピースゲーム 仮想世界で課題解決

広島県教委が中高生を対象に開催した、仮想世界を舞台に繰り広げる教育型シミュレーションゲーム大会「ワールドピースゲーム2019 inふくやま」が10月27日、福山市の会場で最終回を迎えた。県内の中学2年生から高校2年生33人が参加し、10月の休日5日間を使ってゲームを体験して、学びを深めた。11月に同市で開かれるユネスコスクール全国大会で、学びの成果が報告される。

仮想世界をタワーに見立てて、作戦を立てる生徒ら

ワールドピースゲームは、米国の元小学校教師のジョン・ハンター氏が開発し、世界各国で実施されているプログラム。4つの国をもつ仮想世界を舞台に、生徒らがそれぞれの国の首相や大臣など内閣になり、国家間の利害関係について交渉したり、宗教や自然災害に関する23のミッションを解決したりして、自国の発展と世界平和を目指すシミュレーションゲーム。

ゲームでは各国の内閣以外に、国連や世界銀行、武器を販売する商人なども設置、本物の世界さながらのリアルで複雑な世界情勢を読み解いた。他国の状況を踏まえて権力や勢力の集中を防ぎながら世界平和を成し遂げていくため、生徒はチーム内だけでなく他国の生徒とも交渉を重ね、試行錯誤した。

県教委の教育部個別最適な学び担当の叶松忍主査は5日間の活動について、「日に日に生徒の学び方が変わる様子は想像以上だった。学校の授業の多くは教師だけが到達目標を知っていて、子供たちと共有できづらい。このゲームは資産を増やして、課題を解決するというミッションが明確になっており、生徒たちは学習の目的が分かり主体的に動きやすいのだろう」と振り返った。

また、開発者のハンター氏に師事するワールドピースゲーム・プロジェクトの谷口真里佳代表がファシリテーターを務め、「今まさに世界で起きている課題を解決していくゲームなので、私たち大人も含め、正解を誰も知らない。子供たちが固定概念なく取り組むためにも、ファシリテーターや見学する大人たちが何も教えないことが何より大切だ」と話した。

その言葉通り、谷口代表はゲーム中に発言につまる生徒がいても何も言わずに待ったり、「これはどうすればいいですか」といった生徒の質問に対しても「あなたはどう思いますか」と逆に問い掛けたりと、あくまで生徒主体に動くように働き掛けていた。最初は戸惑っていた生徒らも、次第に自身で考えたり、生徒間で話し合ったりと、自力で答えを導く姿勢に変わっていった。

叶松主査はこうしたファシリテーターの姿勢から教師も学ぶ点があるとし、「これからの教師は教えるよりも、ファシリテートする力が求められる。その点でこのゲームを見学するだけでも、教師としての気付きがある」と話した。

最後のディスカッションで、活発に意見を交わす生徒ら

最後の振り返りのディスカッションでは、生徒たちは次々に挙手して発言。

各国を俯瞰(ふかん)し、世界のルールを決定する役割である「運命の神」を務めた生徒は、「私は物事を決めるのが苦手なので、どこの機関にも属さずいろんなことを決定するのはとても不安だった。周りの仲間がどんどん質問や提案をしてくれたので、鍛えられて、決断力がつき成長できたと思う。自分が考え付かないようなアイデアを仲間がどんどん出すので、刺激になった」と振り返った。

さらにディスカッションの後半では、国内の政治や選挙についてまで話題が広がり、生徒らは自分が創りたい未来の世界について率直な意見を語り合った。

11月30日、福山市立大学で開催される「第11回ユネスコスクール全国大会/持続可能な開発のための教育(ESD)研究大会」では、今回ゲームに参加した生徒たちが登壇し、成果や感想などを発表する予定。

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