学校の健康診断情報を電子化へ マイナンバー活用が浮上

学校の健康診断で把握した児童生徒の健診情報を電子化し、集積されたデータを健康増進などに役立てる方策を検討するため、文科省は10月30日、「データ時代における学校健康診断情報の利活用検討会」の初会合を同省内で開いた。席上、厚労省が所管する妊婦健診や乳幼児健診で、マイナンバーを使ったデータ管理によって、保護者が近い将来、スマートフォンでいつでも健診情報を利用できるようになるデータヘルスの取り組みが紹介された。続いて、電子化された児童生徒の健診情報と乳幼児健診の一元的な活用が検討事項として取り上げられ、学校の健康診断結果をマイナンバーで利活用する案が浮上した。

学校の健康診断情報の電子化を議論する委員ら

健康診断情報の電子化を巡っては、今年6月に閣議決定された政府の「経済財政運営と改革の基本方針2019」(骨太の方針)で、誕生から学校、職場など生涯にわたる健診情報を予防などに生かす目的で、22年度をめどに電子化する方策を来年夏までに工程化すると打ち出されている。具体的には「乳幼児期・学童期の健診・予防接種などの健康情報を一元的に活用」することも盛り込まれた。この方針を受けて文科省では、同検討会を立ち上げ、ほぼ月1回ペースで議論し、来年6月に報告を取りまとめる考え。

会合ではまず、ICT環境整備の遅れが問題視される中、健康診断情報の電子化にはほど遠い学校の現状が報告された。健康診断情報を電子化するためには、統合型校務支援システムの健康管理機能が必要になる。だが、文科省によると、統合型校務支援システムを導入している学校は18年3月現在、全体の52.5%にとどまっており、このうち健康管理機能が備わっている割合は不明。

都道府県と政令市の小中高1万3816校を対象とする調査では、健康診断結果を電子的に記録している学校が59.3%で、電子的に記録している可能性がある学校が10.1%だった。都道府県立と政令市立を除く、全国の小中高約2万校のデータはない。

委員のやりとりでは、ICT活用を巡る学校現場と、中教審などで議論している専門家や政策担当者の落差が改めて強調される一幕もあった。

養護教諭の委員が「健康診断情報を電子化するといっても、養護教諭の人数は限られていて、とても手が回らない」と訴えると、ICTに明るい委員が「いまの健康機器は身長を測れば、体重などさまざまなデータが瞬時に電子化されて同時に記録される。そうした機器を使えば、養護教諭がデータを入力する必要はない。もっと子供たちのために時間を使えるようになる」と働き方改革の視点を交えて説明した。

別の委員からは「市町村や学校現場には、なぜ健康診断情報を電子化しなければならないのか、丁寧な説明が必要だ」との意見が出た。

こうした厳しい現状を受け、文科省担当者は、主な検討事項として、乳幼児期と学童期の健康情報の一元的な活用のほか、▽健康診断情報のうち電子化すべき項目や内容の洗い出し▽健康診断情報を電子化する際の様式の在り方▽学校のICT環境整備における健康診断情報電子化の義務付け――を挙げた。

文科省担当者は「乳幼児健診では、マイナンバーと関連付けることで様式が統一された。学校の健康診断情報の電子化でも、文科大臣が定めるといった統一ルールが必要ではないか」と述べる一方、マイナンバーの活用については「義務教育の学校で、学校保健安全法が定めた健康診断の結果をマイナンバーと関連付けることは、今の段階では厳しいのではないか。では、どうしたらいいかを議論してほしい」と述べた。

乳幼児健診はマイナンバーを活用する社会保障分野のひとつ。そのデータを学童期に引き継ぐという基本方針を実現するために、マイナンバーを使わないという選択があるのか。厚労省担当者は「学校の健康診断情報とマイナンバーの関係をどうするのか。議論のポイントはそこになる」と話している。

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