宇都宮大・群馬大の共同教育学部を報告 教職課程WG

大学における教員養成の在り方を検討している中教審教員養成部会の「教職課程の基準に関するワーキンググループ」は10月31日、第6回会合を開き、全国初の共同教育学部を来年度に設置する宇都宮大学と群馬大学からヒアリングを行った。少子化を背景に将来の教員需要が減少する中、両大学の事例報告を受け、教員養成の効率化と質の確保について活発な意見交換が行われた。

共同教育学部についてヒアリングする教職課程WGの委員ら

会合ではまず、宇都宮大学と群馬大学が共同教育学部を設立した背景について、▽教員需要の減少に伴う入学定員の見直し▽地域の義務教育を支えるため質の高い教員養成教育の確保が必要――との問題意識があり、特に中学校10教科の教員養成機能の維持を重視したと説明した。

共同教育課程では、学生全員が受講する斉一科目を設定し、宇都宮大学と群馬大学はそれぞれ31単位以上の講義を提供。学生は他大学から31単位以上の講義を履修する。両学はインターネット回線で教室を結び、遠隔メディアを通して他大学の講義を受ける仕組み。斉一科目のほか、両学が同一科目名でそれぞれ開講する共通教育や、両学が独自に開講する独自教育の講義も行われる。教員や学生はいずれかの大学に所属や本籍を置き、学位は両学の連名で授与する。

また、両学の学生が顔を合わせる機会として新規科目「教職特別演習」を導入。教育実習を控えた2年生の夏に群馬県内で、教育実習を終えた3年生の秋に栃木県内で、それぞれ合同宿泊研修を行う。学生同士の交流によって実践力や人間力の向上を図り、教育実習の学びを深める狙い。

共同教育学部の設立によるシナジー効果として、両学は(1)それぞれの強みや専門を組み合わせ、質が高く、幅が広い教員養成教育を展開できる(2)教職特別演習の合同宿泊研修を通じて人間力や協働力を育成し、教育実習の学びを深めて高い教職意欲を醸成する(3)両学の資源を活用し、ICT・プログラミング教育やESDを中心とするグローバル教育など先端課題に対応した教育ができる――ことを強調した。

群馬大学の窪田健二理事は「宇都宮大学は小学校が強く、群馬大学は中学校が得意。それぞれの強みを生かすことができると思う。特別支援教育は宇都宮大学が3領域、群馬大学が4領域の課程を持っていたが、これからは5領域全てを担当できるようになる。こういう教員養成機能を持つ大学が地域にできる意義は大きい」と説明した。

宇都宮大学の藤井佐知子理事は「共同教育学部の設立は大変だけれども、とても質の高いカリキュラムを作ることができた。大事なのは、何のためにやるかだ。教員養成には優秀な学生が集まらなくなり、先細りの印象が強い。そこに効率化だけを言っても、意義は感じられない。本当に教員養成に必要なものは何なのか。両学で協議しながら、ICTやESDなど先端的なことを含め、こんなこともあんなこともできると、プラス思考で進めてきた」と述べ、効率化を求める議論が先行している教員養成を巡る議論に注文を付けた。

委員からは「小学校の教員養成は難しい。どのように教科の専門性を高めていくのか」「教員養成の質を高めるのはわかるが、効率化を考えると31単位を履修するのは難しいのではないか」「遠隔メディアを使った講義で、アクティブラーニングの要素が強い先端課題を扱えるのか」といった疑問や意見が出された。


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