共通テスト全体の延期を 大学教授らが緊急声明

来年度から開始予定の大学入学共通テストを巡って、18団体、774人の教育関係者らが賛同している「入試改革を考える会」が11月1日、文科省で会見を開き、共通テストの延期を求める緊急声明を発表した。

共通テストの延期を改めて訴える入試改革を考える会のメンバー

同日午前、文科省が英語民間試験の導入延期を表明したことを受け、大内裕和代表(中京大学教授)は「大変喜ばしいが、英語の民間試験は共通テストのごく一部でしかない。本日で問題が終わったのではなく、共通テスト全体の延期に向けたスタートだと思っている」と強調。

国語と数学で導入予定の記述式問題や、試験全体の内容についての問題点を改めて指摘し、見直しに向けた議論の必要性を訴えた。

英語民間試験について、同会のメンバーで英語が専門の阿部公彦東京大学教授は「(延期決定は)正直言って、すごく遅かった。すでに何年も前から問題点を指摘する声はたくさんあり、誰が見てもおかしい制度だ」と糾弾。

また民間試験導入の目的とされていた4技能の測定については、「民間試験の導入ありきで看板を持ってきた側面がある。何となく英語ができるという、ふわっとしたイメージだけで、多くの人は本来の意味で理解できていない」とし、「民間の介入を含め、どこまで公の機関が責任を持ち、どこから私的機関に任せられるのか、よく精査してほしい。今までのように閉じられたサークルではなく、広く知見を集めて話し合うべきだ」と訴えた。

さらに英語民間試験以外の共通テストの問題点については、「記述式問題」と「全体の試験内容」の2点を挙げた。

まず記述式問題については▽採点者を確保することが困難である▽採点の正確さや公正さに不安がある▽自己採点が容易にできず、受験する大学を選択できない恐れがある――と指摘。

「全体の試験内容」については新学習指導要領の内容を先取りしており、従来のセンター試験の出題方法と大きく変わっていると指摘。20年度の受験生から適用するのではなく、新学習指導要領の学習内容を体系化した24年度以降の受験生から適用するべきだと主張した。

入試のあり方について問われた、同じく同会のメンバーで教育社会学専門の中村高康東京大学教授は「入試を変えたその波及効果で、下の教育段階の質も改善しようとするのは甘い考えだ。そもそも日本の社会構造的に、入試は利害が錯綜(さくそう)するフィールド。入試改革に過度な期待を掛けすぎないほうがいいだろう。あまりにも負荷をかけすぎているように感じる」と指摘した。

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